5HOMMA ChinatsuPROFILE北海道札幌市生まれ、苫小牧市育ち。苫小牧東高校卒業。鳥と森と音楽が大好きな森ガール。パソコンのデスクトップは近所で撮ったスズメの写真。鳥を愛しているけどザンギ(北海道名物・鶏の唐揚げ)も好物です。秋田に来て7年、未開拓の食べ物は寒天。固める理由の詮索は置いておいて、今年こそ挑戦したい!※受け継がれる観測データ自然の移り変わりを調査するため環境省が行っている全国規模の観測(モニタリングサイト1000)に2004年から参加しており、試験地での観測データが代々受け継がれ保管されている。※結実豊凶森の木々の種子生産が同調し、凶作から豊作まで年ごとに大きく変動する現象。森の再生・更新を探る上でとても重要な要因となり、膨大なデータから分析している。森の一生を解き明かす鍵を握っているかもしれない。「森がどのように生きてきて、これからどんな風に変わっていくんだろう」―。私が星崎和彦教授の森林研究室に入ってから取り組んできたテーマは、森を構成する樹木の種類や生存の仕組み。端的に言うと「森林の多種共存の解明」です。 多種共存と言うように、森にはさまざまな種類の樹木や生物が共存しています。私たち人間にとって森は生まれた時からある当たり前の存在です。そのため、森はごく自然にそこに存在しているような気がしますが、実は木々が共存する仕組みは非常に複雑なのです。 それは、湿ったところが好きだったり、明るいところが好きだったり…樹種によって好きな場所が異なるためです。さらに、樹木は動物と違って、タネから芽生えて根を張ったあとは移動できないので、芽生えた場所は必ずしも好きな場所ではないかもしれません。木々はそのような場所で他の生物と競争したり助け合ったりしながら共存しているのです。 森林の多種共存の解明は、現在はこの森林科学研究室で行われていますが、星崎和彦教授が学生の頃から30年以上も続けられてきました。私が関わらせていただいたのは4年前からで、研究の期間からするとほんの一部。さらに木々の何百年という寿命を考えれば、研究はまだ始まったばかりだと言えます。人間の寿命では、樹木の一生を見届けることはできませんが、研究の蓄積によって種子や芽生えから、樹木の生態やその先を予測することが可能です。 研究室では、他の研究機関と協力しながら毎月岩手県奥州市にある「カヌマ沢渓畔林試験地(以下、カヌマ沢)」という場所で種子の採取を行い、データを取っています。カヌマ沢の中の特定の場所に、1ヘクタールほどの採取スペースを設置し、毎月樹木の種子を採取するのです。採取スペースには三角コーンを逆さまにしたような入れ物が仕掛けられていて、自然に落ちた樹木の種子が集まるようになっています。その中に入っているのが、どんな種類か、どのくらいの量か、種子のどんな部分だったのか、などをデータとして集め、その特徴や周期性などを解析しているのです。集めたデータはiPadやパソコンに入力していきます。データは、調査地が設定された30年以上前から蓄積されていて、今まで100万個以上の種子を観測。一定の大きさに成長できないものはデータに残さないので、研究チームが出会ってきた樹種の数はもっと多いことになります。調査結果を受け継ぎ、継ぎ足し、次世代での「データサイエンス」へと活かす森の未来を守り抜く!30年のバトンを繋ぐリレー
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