2VRの特性を駆使して地域活性化の糸口を探る VR(バーチャルリアリティ)の可能性を探ること、それが私の取り組む研究の一つです。研究室には、主に3つの機械があり、正面と両側面、床面の四面をスクリーンで囲んだ「CAVE」型、最近はゲームなどでお馴染みの「HMD(ヘッドマウントディスプレイ)」型、3Dスクリーンに投影する「一画面立体表示」型です。一言でVRと言ってもそれぞれに特徴があり、感じ方や効果も違うため、機械を使い分けながら様々な調査に活用しています。 例えば「CAVE」は全身でVRを感じることができるので、よりリアルな感覚を得ることができます。CAVEの中に映し出されたアバターが実際にそこにいて握手できるような感覚になったり、空の上を歩くような「空中散歩」や空から落下する感覚など非日常体験を味わうこともできます。 「HMD」はゴーグル型のVRです。最近はゲームに取り入れられているので、皆さんも馴染みがあるのではないでしょうか。HMDは視覚だけでVRを感じているのでCAVEほどのリアリティはないものの、それでも360度見渡すことができ立体感のあるリアルな世界に身を投じることができます。「一画面表示」は3Dスクリーンにプロジェクターを用いて3D映像を映し出すシステムです。 これらを駆使して、まだ完成されていないビルの安全管理やキャンパスツアーなどに活用しています。学校祭で一般の方が「キャーキャー」と体験している姿を見るのも、VR冥利につきますね(笑)。 私の専門は経営工学で、例えば工場から送られてくる試作品のデータ解析などを行っていました。その時に、実物を再現したくても費用がかかりすぎて不可能なことがたくさんあり、とても残念に感じていたのです。そこで思いついたのが、VRの活用。VRがあれば実際には作ることが難しいものでも表現でき、より正確で効率良い検証が可能になると考えたのです。VRというアイテムを手に好奇心という名の冒険に出よう 普段は、学生の研究のサポートをすることがメインです。学生が興味を感じたことを積極的に応援するのが私のモットーで、できるだけ好きなように考えさせています。学生たちの若い頭脳にはいつも刺激をもらっていて、時にはハッとさせられることもあります。学生たちと研究をしていると、私自身の情熱も湧いてくるのです。 VRは新しい時代を開拓するための貴重な「アイテム」です。私たちの研究だけではなく、県内外の企業にも大学にある機械を活用してもらい、マーケティングや経営戦略に役立てて欲しいですね。そして、これからの時代を担う若者たちにどんどん使ってもらい、新しい表現に活かしてもらいたいです。 大学は、冒険する場所。1つのことに縛られず、多くの興味を追いかけてたくさん冒険してください。「ゲームを作ってみたい!」「新しいことが好き!」そんな好奇心旺盛な君たちを待っています。VRは自由な発想の冒険を支えてくれるアイテム社会システム工学システム科学技術学部 経営システム工学科SHIMAZAKI Masahito1967年11月生まれ。出身は東京都練馬区。電気通信大学卒業・同大学院修了。秋田県立大学の開学に合わせて秋田県へ。最近はあまりできておりませんが、趣味は温泉や廃墟巡り。好物は秋田県にかほ市象潟産の夏牡蠣とばっけ(ふきのとう)の天ぷらです。嶋崎 真仁 教授VRで新しい時代を開拓する
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