秋田大学 令和3年度高校生のための研究者・研究内容紹介
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所属(学科・コース・講座等)教員名(職名 氏名)研究テーマ研究内容医学科血液・腎臓・膠原病内科学講座教 授 髙橋 直人助 教 池田 翔助 教 北舘 明宏なぜ細胞はがん化するのか:悪性リンパ腫のマイクロRNAの研究悪性リンパ腫などの細胞のがん化には遺伝子の異常の累積に加え、遺伝子の調整に関わっているエピゲノムの異常が知られています。マイクロRNAはエピゲノムによる制御機構のひとつで、特定のマイクロRNAの発現の低下や上昇が細胞の増殖や細胞死であるアポトーシスに 関与していることを明らかにして、今後の治療法の開発につながる研究を行っています。医学科血液・腎臓・膠原病内科学講座教 授 髙橋 直人准教授 亀岡 吉弘助 教 北舘 明宏治りやすさ治りにくさを予測する:悪性リンパ腫のPET-CTを用いた予後予測の研究PET-CTを使った代謝マーカーとリンパ腫の遺伝子発言プロファイルを組み合わせて疾患予後を予測し、層別化治療(より予後の悪いと予測される人には強い治療を、予後が良いと予測される人には減弱した治療を)を開発する研究を行っています。医学科血液・腎臓・膠原病内科学講座教 授 髙橋 直人助 教 池田 翔多発性骨髄腫の根治に向けた治療法の開発多発性骨髄腫は血液のがんの一つで高齢者に多く、難治性の病気です。特に骨髄のニッチの低酸素環境に潜む骨髄腫細胞が治療感受性がないことが知られており、低酸素環境でがん細胞内におきる特徴的な分子生物学的な変化を利用した治療方法を考案しています。医学科血液・腎臓・膠原病内科学講座教 授 髙橋 直人助 教 斎藤 雅也助 教 加賀 一腎臓病におけるトールライクレセプターの発現に関する研究腎臓病の一つであるIgA腎症は、感染症を契機に発症し腎にIgAが沈着する疾患である。この疾患における末梢血単核球のトールライクレセプターTLR発現について検討し、TLR4はIgA腎症で有意に上昇していることを明らかにした。現在は、糖尿病性腎症や腎硬化症の末梢血単核球におけるTLR2と4のmRNA発現の検討し、病因との関連を明らかにし、TLRの阻害が治療戦略に成り得るか検討しています。医学科血液・腎臓・膠原病内科学講座教 授 髙橋 直人准教授 亀岡 吉弘新しいお薬を開発する:造血器腫瘍のおける開発臨床試験造血器腫瘍の分子生物学的な研究から多くの分子標的薬が設計され、お薬となるまで世界中で開発臨床試験が行われています。秋田大学の血液内科では世界の最先端の治療方法を提供できるように多くの開発臨床試験に参加し大学病院の臨床研究支援センターと協力しながら安全に行っています。医学科血液・腎臓・膠原病内科学講座教 授 髙橋 直人講  師 鵜生川 久美哺乳類の赤血球にはなぜ核がないのか?ヒト赤血球造血のメカニズムを明らかにする研究哺乳類の赤血球には核がありません。赤血球造血の最終段階で核を放出(脱核)して赤血球になるためです。なぜ・どのように脱核するのかを中心に、ヒト末梢血造血幹細胞から分化誘導した赤芽球を用いて研究しています。将来的に、iPS細胞から輸血用赤血球を作り出したり、骨髄異形成症候群などの病因特定につながることを目指しています。医学科 消化器外科学講座教 授 山本 雄造准教授 打波 宇肝臓のプレコンディショニング研究肝臓がんを治すために大量の肝切除が必要な場合、残される肝臓が少なすぎたり、肝細胞の働きが低かったり、手術操作で肝臓にストレスが加わったりすると、残った肝臓だけでは生命を維持できません。もし、残される肝臓を手術前に大きくしておいたり、肝臓を鍛えてストレスに強くしたり、潜在的な再生能力を高めたり出来れば、たくさんの患者さんを手術で治せます。動物実験等でその方法を開発し、分子生物学的手法でメカニズムを明らかにしています。医学科 消化器外科学講座教 授 山本 雄造助 教 阿部 ゆき外腸骨静脈の人工血管再建の意義と安全性に関する研究膵臓がんの手術では小腸の血液を肝臓に運ぶ門脈という血管を合併切除することでこれまで手術不能であった患者さんを助けることができるようになっています。ところが、切り取った門脈の代わりに使う血管を脚から採取するのですが、代わりに脚が腫れてしまいます。そこで、脚の血管の欠損部を人工血管で置換した場合の安全性やリスクを評価研究をしています。医学科 消化器外科学講座教 授 山本 雄造肝静脈分岐における新規分類の作成肝臓へ流れ込んだ血液は肝静脈から出て、下大静脈という大血管を通じて心臓に戻っていきます。肝臓はたくさんの区域に分かれており、肝臓を切除する際には肝静脈の切離も必要になります。それぞれの区域から出た静脈は合流して最終的に左・中・右肝静脈の3本になります。これらの内、左肝静脈の分岐は多岐にわたるため、肝切除の際に、複雑な分岐のため、術後に血液のうっ滞が生じることがあります。そこで、CT画像を3D化し、多くの患者さんのデータを用い、肝静脈の分岐形態を細分化し、新たな静脈分岐の分類作成を試みています。-27-

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