ACBD理 事疋田 正喜 教授生命科学専攻 生命科学コース1988年京都大学工学部工業化学科卒業、1990年同大学工学研究科修士課程修了。2003年、2004年、ハーバード大学医学部客員研究員。2008年〜2010年京都大学医学研究科特定准教授、2010年〜2016年同大学特定教授。2016年〜秋田大学大学院理工学研究科分子細胞生理学研究室。日本免疫学会評議委員。■細かく神経を使う作業も丁寧にサポート■DNAを調べるための作業。学生たちは器具の扱いも慣れたもの■広く開放的な研究室。「理工学から人類の未来にアプローチしませんか?」■新たな発見に出会えるか、ワクワクする毎日10りを未然に防ぐことにつながると期待しています。私たちはほかにも、免疫細胞に関する研究を行っています。例えば、自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)に関する研究です。本来免疫系の攻撃対象ではない自分の身体を攻撃してしまうこの病気の一部にも、B細胞が関わっていることが発見されました。そしてB細胞を除去することで病態が改善する場合があることも発見されています。しかし、B細胞がなぜ自分の体を攻撃するのか、そのメカニズムはまだ解明されていません。そこで当研究室では、SLEを引き起こすB細胞の働きを研究するとともに、製薬会社と共同で治療薬の開発にも携わっています。もう一つ、アレルギー疾患にもB細胞が関わっています。アレルギー疾患の多くはB細胞が産生するIgE型の抗体が異常に増加することが引き金になっていることは知られていて、これまでの一般的な研究はB細胞の活性化を制御するヘルパーT細胞の活性化異常に着目されてきました。しかし私たちは、T細胞だけでなくB細胞の観点から治療薬を開発できないかと試みています。B細胞を追い求める研究は壮大で、数ヶ月で結果が出るようなものではありません。何年もかけてやっと入口に立つことができるかどうかが、私たちの研究の難しさであり醍醐味でもあります。険しい道のりの中でも学生たちとの時間は日々充実しています。もちろん失敗も多いですが、失敗から学びながら成長していく学生たちに私自身が刺激をもらっているのです。毎年卒業生に送る言葉があります。それは、「Be open and be positive」。失敗を受け入れ前向きに進む心をいつまでも忘れなければ、きっと今よりもっと大きい舞台で輝けるはずです。私たちは医学者ではありません。しかし医療や薬学を支える基礎的な部分から人類の明るい未来を構築していると自負しています。皆さんも私たちと一緒に、細胞の不思議を追求する旅に出かけてみませんか?HIKIDA Masaki
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