秋田大学大学院 理工学研究科 2023
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11日本は、水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーの導入量を、2030年には全体の最大38%にすることを目標にしています。再エネの主力である太陽光や風力の発電コストは下がってきていますので、日本の再エネ導入量は加速的に増加してもよいと思われるでしょう。しかし、思うほどは増加していません。どうしてでしょうか?発電装置の価格がまだ高いことや、設置場所が少なくなってきていることもあります。ですが、電気は使う分だけを供給しなければいけないという大きな前提があるからです。太陽光と風力発電から供給される電気は、天候の影響を大きく受けます。それらの割合を急激に増加させると、発電量を制御しやすい火力発電の割合が少なくなるので、電気の品質がさがり、停電になる場合もあるからです。では、どうすれば、発電量が不安定な太陽光と風力発電の割合を増やせると思いますか?―大量の電気を貯めておける装置をつくればいいのです。そこで、私は蓄電池の研究を進めています。詳しく言うと、リチウムイオン電池に関する研究です。次の3つのテーマ、リチウムイオン電池の高性能化、バイオマスからつくるリチウムイオン電池の負極材料、リチウムイオン電池の正極材料のリサイクルについての研究を行っています。2つ目は、リチウムイオン電池の電極材料をバイオマスからつくる研究です。電池には正極と負極があります。リチウムイオン電池の負極には主に黒鉛が使われています。黒鉛の代わりになる新しい材料が何かないかと考えたの大学院理工学研究科物質科学専攻 応用化学コース1つ目のリチウムイオン電池の高性能化は、電池に使用される材料や構造を改良して、現在の製品より、多くの電気を貯蔵できて、寿命も長くなるような技術を開発する研究です。高性能な蓄電池を追求し 再エネ普及の一端を担う寺境 光俊 教授研究者紹介あくなき電池への探求心で持続可能な社会を創り出す

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