秋田大学大学院 理工学研究科 2023
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ACBD■「失敗するのも勉強!」と日々学生たちと挑戦を繰り返す■様々な材料を使って電池を試作する■−20度から60度まで温度を変えられる装置の中で、電池の性能を調査■実験だけでなくデスク上でも指導に熱が入る12が研究の発端です。秋田県は米どころゆえに、毎年たくさんの「もみ殻」が排出されます。調べてみると、その3分の1にリサイクル用途がありませんでした。そこで、もみ殻を炭にして、リチウムイオン電池の負極に使う研究を始めました。炭にする工程を工夫することで、優れた性能を示す負極材料の開発に成功し、特許を取得しました。その特許は、第70回秋田県発明展にて日本弁理士会会長奨励賞をいただきました。地域の有機資源をうまく活用して、再エネのさらなる導入に役立てていきたいですね。3つ目は、リチウムイオン電池の正極材料のリサイクルに関する研究です。近い将来、電気自動車が増えると、廃車になった電気自動車から膨大な量の廃リチウムイオン電池が発生します。リチウムイオン電池の正極材料には、コバルトなどの希少な金属が使用されています。コバルトは価格が高い上、生産国も限られているので、将来は手に入りにくくなるでしょう。そこで、廃電池から正極材料をリサ数理・電気電子情報学専攻電気電子工学コース1995年3月秋田大学鉱山学部電気電子工学科卒業、2000年同大学院鉱山学研究科システム工学専攻博士後期課程修了。2009年秋田わか杉科学技術奨励賞、2016年日本学術振興会科研費平成28年度審査委員表彰、2019年日本素材物性学会山崎賞。イクルする研究を進めています。正極材料を上手にリサイクルできれば、安価に、持続的に電池を製造できます。私の研究は、材料の種類や組み合わせ、配合量を少しずつ変えながら何パターンも試し続ける、トライ&エラーが基本となります。うまくいかないことが多く、根気と熱意が必要ですが、学生とともに新たな発見ができたときの喜びは、何にも変えがたいものです。秋田県は洋上風力発電の適地であり、今後、多くの再エネが秋田県からつくり出されます。電気は、発電された場所の近くで使うのが最も効率が良いので、秋田県に大きな蓄電設備が設置されるかもしれません。そのとき、蓄電池の研究が秋田県の役に立ちますね。私たちの未来の生活は、ほとんどの電気が再エネでつくられ、電気自動車が当たり前のものになるでしょう。持続可能な社会の実現の一端を担えるチャンスを、私とともに手にしませんか。KUMAGAI Seiji熊谷 誠治 教授

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