秋田大学大学院 理工学研究科 2023
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物質科学専攻 応用化学コース数理・電気電子情報学専攻人間情報工学コースもう一つは、高分子の合成技術を生かして世の中の役に立つ仕事をすることです。医療分野や環境分野など、様々な分野で役に立つ材料開発を進めています。研究のやりがいは、分子レベルからどのような設計をすれば機能が発現するかを考えるところです。初めて行う反応がうまくいったり、これまでとは違う材料を合成できた時は本当にワクワクします。実際には、想定どおりに反応が進まないこと、思ったほど機能が出ないこと、再現性に問題があるなど、失敗することの方が多いのが現実です。ただ、その失敗から大きな学びを得ることができるのも事実。期待していなかった結果になったときでも、それが大きな発見となり意外な喜びに繋がることが研究の醍醐味なのではないでしょうか。だからこそ学生たちに期待することは、物事を論理立てて考え、解決策や最善策を提案できるようになることです。世の中の問題は明確な答えがないことも多いですが、理系の研究において論理的な思考力を身につけることは非常に大切です。ポジティブな態度で人に頼られるような人材になって欲しいと思います。そして、その有り余る探究心とエネルギーを使い、私たちと一緒に新たな発見を見出しましょう。10年後、私たちの暮らしはどのように変化しているでしょうか?旅行や食事は現実世界で楽しみ、コンサートや観劇はサイバースペースを活用することが当たり前になっているのかもしれません。地方で暮らしながら、世界各国の人達とサイバースペースで協働する時代を想像すると、ワクワクしませんか?「ヒトを中心としたデジタル技術」は文系・理系を問わず活用できると私は考えています。人生をロールプレイングゲームに例えると、大学は外の世界で戦う前の訓練の場です。多様な経験を通してスキルを磨き、レベルアップすることができます。でも、宿屋で時間を過ごすだけではお金がかかるだけで、あなたの経験値は上がりません。秋田大学理工学研究科には、皆さんのレベルアップに役立つ「レアアイテム(貴重な研究設備)」や「モンスター(教授陣)」が揃っていますので、限られた在籍時間で精一杯挑戦し、戦って(考えて)みてください。数年後、科学の知識と経験を積んだあなたは、究極の剣を手に、そして秋田大学の卒業生であることを誇りに、目を輝かせて社会に旅立つことでしょう。JIKEI MitsutoshiMITOBE Kazutaka34寺境光俊 教授水戸部一孝 教授研究者人生、未知の方法を探る旅私が研究者人生の中で目指すのは、学術的に価値の高い研究を行い、将来教科書に載るような結果を出すことです。分岐高分子の研究を20年以上続けており、1999年には世界で初めて「A2型、B3型モノマーからの多分岐ポリマー合成」について報告しました。この方法は簡便に多分岐ポリマーを合成する方法として世界中で用いられています。これについてはまだ解決すべき問題点が残っているので、現在も研究を重ねている最中です。テクノロジーが普及する 未来を共に創ろう!近年、空間を超越する科学技術が普及してきました。例えば、アパートに居ながら、先生の採血手技を顕微鏡レベルの立体映像で学ぶことができたり、部屋の床にバーチャルなブロックを積みながら立体映像の友人達と一緒に橋梁設計の課題に取り組んだり、医師が遠方に住むパーキンソン病患者の立体映像から運動症状を診断したりすること等は、既に実現されています。そして、2030年を目処にHMDをコンタクトレンズサイズに小型化する研究開発も現在進められています。教授からのメッセージ

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