秋田大学 CAMPUS GUIDE BOOK 2024
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■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■25地球深部に宿るエネルギー資源〜超臨界地熱発電の実現に向けて〜 大学院国際資源学研究科 資源開発環境学専攻 教授 長縄 成実 長縄先生は、超臨界地熱発電と呼ばれる次世代地熱発電に利用する地熱流体資源を地下から取り出す掘削技術の統合的な研究を行っています。 天候や日照などの自然条件に依らず安定した発電が可能な再生可能エネルギーである地熱発電は、地球内部の熱を利用した地下深くの天然のボイラーで熱せられた地下水から作られる蒸気を使って発電タービンを回します。従来の地熱発電は地下の200〜250℃程度の温度の熱水・蒸気を利用しますが、超臨界地熱発電は、温度400℃以上かつ圧力300気圧以上の超臨界状態にある熱水・蒸気を利用す時を超え美術作品のメッセージを読み解くという醍醐味 教育文化学部 地域文化学科 国際文化講座 国際文化コース 准教授 佐々木 千佳 佐々木先生は、15〜16世紀のルネサンス期の美術を中心とした西洋美術史を専門とし、特に北イタリアのヴェネツィアで制作された祭壇画をはじめとする絵画作品が都市の成り立ちや文化的状況にどのように関わり、聖堂や礼拝堂に設置された絵画が持つ役割についても研究しています。 先生はヴェネツィア派が形成された経緯とともに装飾写本の肖像画や祭壇画から作品の持つ意図・機能の考察を行いました。その一例として、祭壇画の背景に修道院の社会的・宗教的アイデンティティと信心が反映され、個人埋葬礼拝堂と公的な場における両自らを犠牲にして私たちの身体を守る健気な細胞〜好酸球 大学院医学系研究科(医学専攻等)  医学専攻 病態制御医学系 総合診療・検査診断学講座 教授 植木 重治 植木先生は血液中にある「好酸球」という不思議な細胞に注目しながら、アレルギーの免疫機構・病気との関連を研究するだけでなく、この好酸球の働きや役割を広く楽しく知ってもらうための活動(好酸球の「推し活」)を行っています。血液中の白血球は5種類に分類されており、そのひとつに植木先生が研究する好酸球があります。 先生はアメリカのハーバード大学に留学しているとき、毎日、血液から抽出した好酸球をシャーレに入れて色々な条件で培養し、15秒おきに顕微鏡で撮影するという地道な作業を続けていました。この認知症高齢者の生活機能維持と向上をめざして 大学院医学系研究科 保健学専攻 作業療法学講座 准教授 浅野 朝秋 浅野先生は、認知症になっても自分らしく、尊厳を持ち豊かで安心した生活を送れる社会の実現を目指してICTを活用した様々な認知症生活支援を研究しています。 認知症の方が施設へ入居するきっかけの多くは排泄トラブルにあるといいます。先生は、排泄トラブルを介護者がどのように解釈し対処しているのかインタビューを行い、質的に分析しました。すると、記憶や理解の障害以外については未理解な部分があると判明したのです。認知症の方には苦手なことが多くあり、浅野准教授はイメージがつきにくいこうした障害特性を介護者に説明することで、排泄トラブルの潜在的解決策になると考えています。モノづくりの楽しさと次世代モビリティーのモータ開発をめざして 大学院理工学研究科 共同サステナブル工学専攻 講師 吉田 征弘 吉田先生の研究室では、企業との共同研究を中心に電気機械エネルギー変換装置であるモータの性能向上について研究しています。 電動化の動きが加速するなか近年需要が高まっている電気自動車では、駆動用モータに強力なネオジム磁石焼結磁石が使われています。このネオジム焼結磁石には、ジスプロシウム(Dy)という重希土類の一種を添加することにより高温時でも磁力を低下しにくくする鉱物が使用されていますが、Dyは希少なレアメタルのため高価です。 先生は磁力の弱い磁石でも強力磁石を使ったモータと同等以上のトルクを出力できるようなモータを目指して「非対称磁極構造Dyフるため、これまでにない非常に高効率の発電が可能になります。 秋田県は地熱資源が豊富で、地熱エネルギーの利用が活発なエリアでもあります。秋田大学は、国の研究機関である新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO(ねど))の超臨界地熱資源開発プロジェクトに2018年から参画し、長縄先生も新たな掘削技術の研究を行っています。2050年カーボンニュートラル実現のための有望な手段である超臨界地熱発電の実現には、宇宙開発に匹敵する高度な掘削技術の開発が必要です。長縄先生は、2040年以降の超臨界地熱発電実現に向けて、熱く夢ある研究に今日も取り組んでいます。方の機能が込められていたと考えました。これらを通し、芸術は人間の知情意に訴えかける力を強く有する存在であることを知ってもらい、若い感性で芸術作品に触れる機会を持つことで、未来の文化活動を担う場の育成に繋がると先生は考えています。そして生涯学習の一環として市民・県民の方々との接点を持ち、県内大学との連携もはかりながら今後も地元地域の美術教育に積極的に関わっていきたいと意欲的に取り組んでいます。とき、好酸球が驚くほど早く崩壊してしまう様子を世界で初めて発見しました。この好酸球の細胞死は、現在「エトーシス」と呼ばれています。好酸球の「エトーシス」は身体を守る免疫機構として病原体を封じるしくみとなっている一方で、アレルギーなど病気が悪化する原因のひとつになっていることもわかってきました。つまり、好酸球が間違った過剰反応による自爆を起こしているために、病気が起こるようなのです。実は好酸球のエトーシスによって難治になる病気が数多くあることから、さらにその仕組みの解明と治療法の開発が求められています。植木先生はこの謎を解き明かすため、日々研究に励んでいます。また認知症の方から若い頃のお話をうかがい、その内容をアルバムにまとめて関わることで、精神的に落ち着きQOLが改善すると考え、デジタルアルバムの開発を行っています。 超高齢社会と呼ばれる時代の中、リハビリを必要とする人が増加することで作業療法士のニーズはさらに高まり、AIの活用も今後発展していくと予想されます。しかし対象者に寄り添う温かな気持ちや、コミュニケーション力はこの先も必要であることに変わりはありません。先生は今後も認知症と向き合い、時代を見据えた作業療法士の育成と認知症の方が必要なこと、望むこと、楽しいことの生きがい支援のために尽力していきます。リー永久磁石同期モータ」を開発しました。 このほかにも磁石を一切使わないモータとして、アキシャルギャップ誘導モータやアキシャルギャップスイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)について高性能化を行い、ドローンへの搭載を目指しています。 先生たちが開発したさまざまなモータの製品化をめざして、モノづくりの楽しさを体感しながら持続可能な社会づくりへの貢献、そして豊かな社会の実現に役立つ未来に向けて研究はこの先も続きます。詳細はこちらから▲■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

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