特別鼎談コロナ禍、最後の砦となった愛媛大学医学部附属病院新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの人が不安を抱えながら生活しています。愛媛大学医学部附属病院は愛媛県内の重症患者の受け入れ、治療を担っています。また2021年夏には、県内8大学等の学生・教職員等を対象に「大学拠点接種」を実施しました。その最前線で活躍中の3人の先生方に話をうかがいました。満田 現在も続くコロナ禍において、田内 附属病院では、2020年3月愛媛大学医学部附属病院(以下:附属病院)は治療の最前線に立っています。附属病院は重症患者さんにとっての、最後の砦として、杉山病院長や田内先生らスタッフの皆さんが大変なご苦労を続けておられ、まさに頭が下がる思いです。から新型コロナウイルス感染症患者の受入れを開始し、4月には集中治療室(ICU)1室を専用病床として重症患者の受入れを行ってきました。救急科の佐藤格夫先生のチームがその治療にあたり、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を駆使して、受け入れた重症患者の約9割の命を救うことができました。こうした体制の構築には、大変な苦労がありました。まず治療にあたるマンパワーの確保。重症患者の杉山 第4波(2021年3月〜6月)増加に伴い、機器の運用には数名のスタッフがかかりきりになりますので他の診療課から応援スタッフを確保しました。また附属病院全体として手術を6割にまで抑えました。目の前の患者の治療を行いながら、緊急を要しない患者については手術時期を待っていただき、他院で手術可能な患者は他院に協力をしていただくなどしました。さらに、附属病院全体の医療サービスの質が低下することのないよう、全スタッフが一丸となって対応してきました。の時期は、ワクチン接種をしていない県民がほとんど。病床を逼迫させないためにも、県民の予防意識を啓発することが非常に重要でした。そこで治療の中枢を担う当院と愛媛県立中央病院、松山赤十字病院、愛媛県医師会が共同記者会見を行い、各病院の状況や感染予防を訴えました。これは医療の最前線で戦っている医療従事者からの強いメッセージとして、感染予防策の徹底の一助となったと考えています。 第5波においては、県内の医療機関との結束力も確認することができました。附属病院は重症患者の治療を専門としましたが、人数の多い中等症者や軽症者を受け入れている病院や、第5波では膨れ上がった軽症者に対応する保健所等と、緊密に連携を取りながら、対応することができました。たのが良かったですね。県内の感染症専門医は日頃から密に連絡を取り合う関係性にあり、早期の段階で愛媛県に対して機能分担についての提言を行いました。そして、愛媛県全体を一つの治療機関として捉え、患者を適切に振り分けることで医療崩壊を防ぐことができたのです。は、田内先生と愛媛県のコーディネータである濱見先生が中心となって設計田内 愛媛県は早く役割分担ができ杉山 機能分担に関する提言について新型コロナウイルス感染症に対する愛媛大学・愛媛大学医学部附属病院の取組コロナ禍において、愛媛大学と医学部附属病院が果たす役割17
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