|先生の食品栄養学研究室は どのような特徴がありますか。 私は幼い頃より、人の健康に寄与するような仕事をしたいという思いを抱いていました。そこで食品の成分や機能性を学ぶべく愛媛大学農学部に進学し、菅原卓也先生に師事しました。10年前に、母校である愛媛大学の教育学部に着任し、家政教育講座で食品の基礎研究から応用(開発)研究に取り組む唯一の食品栄養学研究室を立ち上げました。細胞を用いた実験は教育学部で、動物実験や臨床実験は農学部や医学部との連携で進める体制を構築。学部内に本学でも屈指の設備を整えた調理室があり、実用性に富んだ研究を進められています。また教育という観点から、高大連携が進めウムの体内吸収率の増大が期待されるやすい点もメリットとなっています。|産学連携による商品開発の 概要について教えてください。 食品栄養学研究室では、その成果を地域へと還元し、商品開発を意識して活動しています。これまでに飲食店(有限会社旬美)との共同研究で、卵殻粉と白キクラゲ粉末を含む新規カルシウム強化魚肉練り製品を開発。これはカルシ食品として、特許出願を果たしています。またこの成果を持って株式会社八水蒲鉾との共同研究を行い、独自の練り製品を商品化。私にとって初めての産学連携商品として、2021年から販売を開始しています。企業との共同研究では、身をもってコスト意識やスピード感などを学べ、大きな収穫となりました。 このほか抗アレルギー成分であるノビレチンを多く含む香酸柑橘シークヮーサーの葉をパウダー状にし、お菓子づくりなども実践しています。未利用資源の有効活用により、SDGsにも貢献する取組となっています。現在は赤ナツメパウダーを使った鉄強化ゼリーの開発・商品化も進めています。|高大連携活動にも積極的に 取り組んでいるそうですね。 スーパーグローバルハイスクール事業、「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(GL事業)」に基づく課題研究で、愛媛県立松山東高等学校の生徒の指導も行っています。生徒達とは、シークヮーサーの果肉や果皮を使った世界初のマーマレードを開発。八幡浜市で開催された第3回ダルメイン世界マーマレードアワード&フェスティバルに出品し、高校生の部で銀賞を受賞しました。こうした評価により、高校生たちの学びの意欲を育むことができたのではないかと私自身も喜びをかんじています。学生と共に食品栄養学の観点から試行錯誤。教育学部 学校教育教員養成課程中等教育コース4年生河本 優月さん 私は以前からアスリートの食生活について興味がありました。企業の方にご協力いただき赤ナツメを用いたアスリート向けのゼリーを作りました。試作品を部活動の仲間に試食してもらい、味や効果について評価をしてもらい、またヘモグロビン値を測定し、課題解決につなげるなど、実践的で充実した研究活動ができました。教育学部 学校教育教員養成課程 研究室では自分が研究したいことについて、とことん学べる環境が整っています。細胞培養などから調理加工まで、幅広く実験・調理実践ができるところが魅力です。また、和気あいあいとした雰囲気で、岡本教授も熱心に指導してくださるため、伸び伸びと研究しています。中等教育コース4年生藤川 史帆さん5愛媛大学 教育学部 家政教育講座食品栄養学研究室 教授[プロフィール]福岡県出身。2000年愛媛大学大学院農学研究科博士前期課程修了、2003年九州大学大学院生物資源環境科学府博士後期課程修了、マサチューセッツ大学医学部博士研究員、奈良県立医科大学医学部博士研究員、川崎医科大学医学部助手・助教を経て、2011年愛媛大学教育学部に講師として着任。准教授を経て2021年より現職、同年11月愛媛大学学長賞受賞。趣味は居酒屋巡り。おかもとたけあき赤ナツメと食生活についての研究学びたいことを追求できる研究室岡本 威明02
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