|先生の研究室がコロナ禍にあって 取り組んだことはありますか。 観光やまちづくりをテーマに研究をしている私にとって、コロナ禍は大きな転機となっています。ニューノーマルな観光やバーチャル観光のコンテンツづくりなどウィズコロナを見据えた新しい実践が増えました。デジタルで観光の魅力を伝えるのもその一つ。ここ2年、私の研究室では「えひめ東予・瀬戸内リンクプロジェクト」に取り組んできました。これは愛媛県と東予5自治体、そこに住む高校生、そして研究室の学生が連携し、地域の様々な魅力を掘り起こし、デジタルポスター化して発信し、コロナ禍での観光まちづくりにつなげるものです。|「えひめ東予・瀬戸内リンクプロジェクト」タルポスターの制作に結びつけました。コロナ禍の観光では、マイクロツーリズムかった文化に触れる旅行が増えました。コロナ禍の観光、その両方をつなぐプロ にはどのような特徴があるのでしょうか。 一番の特徴は高校生とともに取り組んだことです。大学生もそうですが、コロナ禍により高校生は多くの教育の機会を失いました。そうした高校生に「地域の歴史や文化を学ぶ機会を」という依頼があり、フィールドワークなどを実施。デジ祭事や行事など様々な魅力が掘り起こされる中、コロナ禍でその継承が困難となる地域の実情が分かりました。一方、といって、身近な地域に出かけ、知らな今回のコンテンツは、文化が抱える課題とジェクト。「リンク」には、コロナ禍で疎遠となった若い世代同士、観光と文化、東予各地を「つなぐ」意味があります。|愛媛大学に着任されて12 年、 今後のビジョンをお聞かせください。 私は道後温泉や三津浜、内子町、石鎚山など、様々な観光まちづくりに関わっていますが、その全てに学生が参画。現場を経験することは学生たちにとって得難いものです。大切なのは出会い。私の研究室では山村や離島に足を運び、そこで出会った人、風物から学ぶことが基本となっています。観光業ではバーチャルやリモート化が進んでいますが、最終的には移動や人流に結びつけることが必要。幸いなことに県内の自治体や企業に就職した卒業生が多く、連携して事業に取り組む機会にも恵まれています。今後も地域に必要とされる観光のあり方を考えていきたいですね。い6full of live information on Ehime University「えひめ東予・瀬戸内リンクプロジェクト」のメンバー社会共創学部社会共創学部愛媛大学 社会共創学部地域資源マネジメント学科 准教授[プロフィール]香川県出身。2008年筑波大学生命環境科学研究科博士課程修了。2009年より愛媛大学教員となり、2016年より現職。日本学術会議連携会員、聖カタリナ大学非常勤講師のほか、愛媛大学広報室、愛媛大学地域共創研究センター副センター長などを兼務。趣味は旅行。ぐちあずさ特集「Zooming up」観光を通して文化の魅力を伝える地域資源マネジメント学科3年生岡本 悠暉さん 私は地域文化の観光活用に関心があり、愛媛県東予地方の高校生と地域文化の魅力を伝えるデジタルポスター制作に取り組んでいます。実践を通して、観光活用は地域文化を継承する方策の1つであり、地域の意見をしっかり活かすことが重要であることを学びました。伝統文化を現在のまちづくりに地域資源マネジメント学科3年生松下 真佑さん 内子町小田で廃線となった森林鉄道遺構を調査し、その成果をガイドマップにまとめた際に、地域史の情報発信は、歴史のみならず現在を生きる人々の言葉で伝えることが大切であると学びました。現在は、砥部焼と観光との関わりについて研究に取り組んでいます。井口 梓03
元のページ ../index.html#7