|2020年12 月に発表した研究はどのようなものでしょうか。 私は学生時代から、植物と昆虫がどのように関わり合いながら進化したかを研究テーマの一つにしています。特にコケに擬態するシリブトガガンボの幼虫に着目し、10年かけて調査して、8種の幼虫を発見。その生態と形態を解明しました。具体的には幼虫のコケ擬態に肉質突起という柔らかなツノが関わっており、その形は棲息環境などにより種ごとに異なること、突起の一部に筋肉を持っていて運動に関与していることなどを明らかにしました。この成果は2020年、イギリスの国際学術誌にオンライン掲載されました。現在はDNAを使った解析で、その進化の過程これまでの収穫と展望は。いえる研究テーマです。 ゆめ 7を探っています。この研究の難しさは、一番は採集。私は大学1年生のときにたまたま見つけ、以降、コツコツと集めました。常に関わってきた、出発点とも|どのような経緯を経て研究者への道を歩まれましたか。 私は他の研究者が手をつけない分野に興味を持っており、いずれも非常に時間がかかる研究ばかり。これまで常に並行していくつかのテーマを追いかけてきました。その原点は子どもの頃、昆虫が好きで、やたらと虫を集めていました。小学校の卒業文集には「昆虫学者になりたい」と書いたほどです。高校時代に生態学に関心を持ち、生き物同士の関係や棲息環境などに興味を広げて現在に至ります。大学時代にはフィールドワークで鍛えられました。また化石と生物の両方から自然史を学びたいと、アメリカに留学しました。|愛媛大学に着任して4年、 四国にはあまり馴染みはなかったのですが、フィールドとしてとても魅力的なエリア。着任後、やりたいことがどんどん見つかり、学生とともに取り組んでいます。また愛媛大学に来て初めて「教える」という経験をさせていただき、研究を通して忍耐力やプレゼンテーション能力を身につけている学生の姿に、教員としての喜びを感じています。また学生の新鮮な視点に、ハッとさせられることも多いですね。今、愛媛大学の他学部の先生や他の研究機関との共同研究も順調。こうした成果で競争力を身につけて、研究者として、教育者として、自分らしさをしっかり確立していきたいと考えています。昆虫と植物を求めて、島根県奥出雲町へフィールドワーク!新発見したダニの前で記念撮影! 野外調査では、先生と学生が、各々自身の調査を行います。そしてその最中に時々集まっては、発見した生物や現象について情報交換し、議論するのが恒例です。他メンバーの話を聞いた後にもう一度自然に目を向けると、全く違った見え方をするので嬉しく、それが積み重なりさらに野外調査が好きになります。理学部 理学科 私の研究室では各学生が異なるテーマを研究しており、それぞれの観点からなる豊かな発想力に日々刺激を感じています。ここで学んだことは研究に限らずいろいろな場面で活かせると思います。将来は常識にとらわれないものの見方で会社・社会を動かしていきたいです。理学部 生物学科生物学コース4年生三好 了瑛さん[プロフィール]東京都出身。2012年京都大学理学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程、博士課程修了。日本学術振興会特別や京都大学大学院人間・環境学研究科、スミソニアン研究所の研究員を経て17年より現職。広島大学理学部客員講師を兼務。趣味は語学の勉強。愛媛大学 大学院理工学研究科環境機能科学専攻 助教今田 弓女いまだ野外調査の度に気になる生物が増えていく生物学コース3年生池田 颯希さん様々な興味を持った仲間たち04
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