愛媛大学広報誌 ドット・イーフォリオ vol.16
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|先生のご専門である法医学は どのようなことをしていますか。 ドラマなどに登場する監察医をイメージしていただくと分かりやすいのですが、私は亡くなった方の死因を明らかにする法医解剖をしています。法医解剖を専門とする医師は少なく、全国で約150人。私は愛媛県全域を担当しており、その件数は年間約120件になります。法医解剖は犯罪捜査や裁判とも深く関係していて、事件の解明や事故の再発防止にも役立ちます。諸外国に比べると日本の解剖率は低く、そのことが犯罪の見逃しに繋がっているとも言われています。死因究明は最後の医療です。死因を明らかにすることは死者の尊厳を守ることであるといなかった解剖室の整備といったハード同時に、ご遺族が大切な方の死を受け入れるためのグリーフケアでもあると思っています。|着任から10 年、どのような 取組をなさっていましたか。 まず、法医解剖を行う体制を整えることから始めました。長く整備されて面と、愛媛県警との協力関係構築や教室の解剖スタッフ育成といったソフト面の両方が必要でした。とりわけ、着任から2年後に四国で初めてのAiセンターを医学部附属施設として立ち上げられたことは大きな成果です。Aiセンターではご遺体のCT検査を行いますが、CTはお体を傷つけることなく、死因を明らかにできる強力なツールです。また、小児科・放射線科と連携し、こども虐待の診断・予防につながる「小児Aiモデル事業」にも取り組んでいます。|今後、力を入れたいことについて お話しいただけますか。 解剖を通じて死因を究明することは勿論ですが、学生教育と法医専門医の育成に力を注ぎたいですね。学生と教員がアットホームな雰囲気の中で互いに学べるところが、愛媛大学の長所だと感じています。学生との最大の接点は法医学の講義ですので、限られた時間の中で毎回が真剣勝負、法医学の学問的な面白さを伝えたいと思っています。今年も学生投票によるベスト・ティーチャー賞を戴くことができましたが、学生からのフィードバックは大変励みになります。また、法医学の専門医を育てることも重要です。研究室配属の学生や大学院生が解剖や法医学にやり甲斐を見いだせるようなメンターになることが目標です。み8full of live information on Ehime University組織(顕微鏡)検査で死因の手掛かりを探す浅野教授。医学部 医学科 現在、臨床実習、部活動、地域医療学や解剖見学等に参加しています。その中で、患者さん、医師やコメディカルの方等、多方面の人との繋がりが増え、医療や生き方に対する多様な考え方を知りました。この経験を活かし、包括的な医療のできる医師になれるよう努めていきたいと考えています。[プロフィール]兵庫県出身。1994年神戸大学医学部卒業。同大学准教授を経て、2012年より現職。2014年医学部附属Aiセンター長、2019年医学系研究科副研究科長、2020年評議員。趣味はドライブ。愛媛大学 大学院医学系研究科医学専攻 教授あさの医学部 医学科5年生須之内 真琴さんぎわ特集「Zooming up」 昨今、スペシャリストについての重要性が謳われていますが、どんなに専門性を高めたとしても何処かで別分野のタスクをこなす必要も出てくると思います。当講座では医学と法律が絡むなど、他の医学講座では経験しにくいクロスオーバーが多いため、視野を広げることが出来ました。将来性のある、クロスオーバーへの対応力3年生山中 凱渡さん人生を診る医師へ浅野 水辺05

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