プロテオインタラクトームの牽引役を目指して(2003年設立)」時代から約20年にわたり、(プロテオインタラクトーム)の解明は生命科学3 タンパク質は生き物全ての生命現象を担う基本分子。2013年に設立された「愛媛大学プロテオサイエンスセンター(PROS)」は、前身の「無細胞生命科学工学研究センター独自のコムギ無細胞タンパク質合成技術を開発し、発展させてきました。「高等生物のタンパク質は単体で機能することはほとんどなく、生体内で他のタンパク質と複合体として協働しています。そのため個別のタンパク質機能の解明、タンパク質複合ネットワークの最重要研究課題なのです」と説明するのは、PROSの澤崎達也センター長。これまでにPROSは、コムギ無細胞タンパク質合成技術を生かして3つの大きな成果を生み出しています。第1に世界最大規模のヒト全タンパク質セットに代表される3万5000種以上の各種プロテインアレイを構築したこと。第2に世界で最も高感度にタンパク質相互作用を検出できるAlphaScreen技術の開発。第3にそれらを高速かつ多検体で解析可能な高速スクリーニング設備の独自開発。「PROSが蓄積した知見や技術は、生命科学や医学など幅広い分野で、基礎研究、難病の新規診断、治療法の開発、臨床医学応用などに活用されています」と澤崎センター長は説明します。2022年より、「プロテオインタラクトーム解析共同研究拠点(PRiME)」に認定され、これらPROSの財産を国内外の研究機関や研究者に活用してもらえるシステムが構築されました。これまでタンパク質に関わる共同利用・共同研究拠点は、大阪大学蛋白質研究所と徳島大学先端酵素学研究所がすでに認定されていました。ただし大阪大学は構造解析、徳島大学は質量分析を専門としており、PRiMEのようにタンパク質の機能に特化したセンターは、国内で唯一。澤崎センター長は「それぞれの特徴を生かしながら、この分野の研究をさらに進化・深化させることを期待しての認定と受け止めています」と話します。実は拠点認定については、以前にもネットワーク型(他の機関と共同)で申請したことがありました。その際には認定に至らなかったため、今回の認定はPROSにとっても大きな喜びとなっています。また4月の拠点認定から3ヶ月の時点で、既に30件以上の共同研究の依頼があり、想像以上の反響に驚きとともに、期待の大きさを実感しています。PRiMEでは異分野研究者間の交流、若手研究者の育成・国際化を測るために、国際シンポジウムや国内研究集会の定期的な実施を予定しています。その第1弾として近日、若手研究者による研究拠点発表会を行います。「愛媛大学の学生に、若手研究者の姿をロールモデルにしてもらいたい。また同じ世代の研究者たちは人脈づくりに役立ててほしい」との願いも抱いている澤崎センター長。特に共同研究の募集においては、生物学系だけではなく有機化学の分野からの応募が目立ったと言います。「枠にとらわれず幅広い分野の研究者との交流を深めるチャンス。それによりPROSの学生や若手研究者が視野を広げ、豊かな未来へとつなげることができれば」と期待を寄せています。これまでたくさんの研究成果で社会に貢献してきたPROS。PRiMEはその幅を広げる役割を果たすに違いありません。関係者が抱く「プロテオインタラクトームの牽引役に」という願いは、確実に現実のものへとなっています。独自に開発した技術と設備特徴を生かしながらタンパク質研究の進化と深化を学生や若手の糧となる多様な研究者との出会いfull of live information on Ehime University特集「先端研究で世界とつながる愛媛大学 _共同利用・共同研究拠点_」10PROS Joint Research Program for Protein Interactome愛媛大学プロテオサイエンスセンター共同利用・共同研究拠点プロテオインタラクトーム解析共同研究拠点 PRiME −プライム−
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