環境のタイムカプセルにより環境研究をリードする1 4「この分野において、日本を代表する研究機関「愛媛大学沿岸環境科学研究センター(CMES)」は、1980年代半ばの宇和海の漁場環境研究に端を発し、理・工・農学部から参画したメンバーが地域の海の諸現象の解明、養殖適正化の概念創出など多くの成果を生み出しました。また1980年代末にはメンバーが連携してインドの農薬汚染調査を実施。こうした学際的連携による環境研究の伝統を礎に、多様化・深刻化する環境問題への対処という社会の要請を背景として、1999年にCMESが発足しました。以来、文部科学省の21世紀COE沿岸環境科学研究教育拠点(2002〜06年度)、GCOE化学物質の環境科学教育研究拠点(2007〜11年度)に採択。として歩んでおり、大型の科研費の獲得により研究環境の整備も行ってきました」と説明するのは、「化学汚染・沿岸環境研究拠点(LaM e r)」の岩田久人拠点長。科研費による環境整備で、世界的にも注目されているのが2005年に整備された生物環境試料バンク(es■BANK)。これは50年間にわたり集めた生物試料を冷凍保存したもので、魚類や鳥類など種数は1400以上、試料数は約11万7000にも及んでいます。「採取地点は地球規模に及んでおり、汚染の状況を把握するだけではなく、過去・現在との比較や未来への予測、毒性影響調査など様々な活用が行われています」と岩田拠点長。es■BANKは「環境のタイムカプセル」とも呼ばれ、グローバルリソースとして、唯一無二の価値を誇っているのです。es■BANKの設置以降、国内外の大学や研究機関に6000以上の試料を提供し、3万以上の試料を受け入れてきました。これまでに150編以上の論文が作成されています。また外部の研究者の利便性を考慮し、検索機能付きのデータベース公開も行っています。さらには、es■BANK関連のワークショップやシンポジウムもほぼ毎年開催。こうした取組を背景に2016年度から6年間、LaM e rは文部科学省の共同利用・共同研究拠点に認定されました。これに当たって掲げた目標は「化学汚染と沿岸環境研究の学際化・国際化の推進」と「世界的環境研究拠点としての体制構築と整備」の二つ。またそれを実現するために「環境科学研究を通した社会貢献」、「若手研究者の育成」、「アジアの環境科学研究を先導」、「es■BANKの機能強化と活用」、「環境科学教育のレベルアップ」という5つのミッションを果たしてきました。「今春、共同利用・共同研究拠点に再認定されましたが、こうした基本方針を今後も貫いていく考えです」と岩田拠点長は力を込めます。過去6年間、LaM e rは多くの成果をあげました。有害化学物質分析装置や調査実習船などを共同利用化して実施する「設備利用型共同研究」、冷凍保存試料の提供による「es■BANK利用型共同研究」、その他の「一般共同研究」、「セミナー・研究集会」という4つのカテゴリーで、総計330件(うち115件は海外)の共同研究や研究集会が実施されました。またシンポジウム、ワークショップ、セミナーなどの開催は6年間で77件、延べ3245人が参加しています。さらには成果として発表された論文数は463報でうち国際誌に発表された論文は9割を超えています。学術界でその存在感を確かなものにしているLaM e r。さらに良い成果を出していくために、事業推進のための新体制も強化されています。「今回の拠点認定継続は、CMES所属の若手研究者(博士後期課程学生・ポスドク)にも追い風。共同利用・共同研究に積極的に参加して欲しい」と願う岩田拠点長。今後も、「アジアの環境研究拠点」としての役割を果たすことを大きな目標に掲げているLaM e rに注目していきたいものです。多様化・深刻化する環境問題に学際的・国際的な解決策を2つの目標を掲げて拠点としての役割を果たすCMES所属の若手研究者にも大きなチャンスとなる認定継続full of live information on Ehime University特集「先端研究で世界とつながる愛媛大学 _共同利用・共同研究拠点_」es-BANK外観試料保管用冷凍庫試料保管用液体窒素タンクLeading Academia in Marine and Environment Pollution Research愛媛大学沿岸環境科学研究センター共同利用・共同研究拠点化学汚染・沿岸環境研究拠点LaMer −ラメール−
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