愛媛大学広報誌 ドット・イーフォリオ vol.17
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アジアの環境研究の拠点として、新分野創生や異分野融合研究を郭 須之内さんの研究テーマは。イルカの体内に蓄積された化学物質についての研究を行なっています。イルカや鯨類は化学物質が蓄積しやすいという性質があり、この調査研究により環境汚染の状況を把握できます。郭 須之内さんは、学部生の時はスーパーサイエンス特別コースで学び、そのまま修士、博士と進んだわけですが、愛媛大学やCMESの一番の魅力は何なのでしょうか。須之内 私の研究において、生物環境須之内 私は高校時代に高大連携試料バンク(es■BANK)はやはり魅力的です。郭 es■BANKには、過去50年間にわたり、世界各地から集めた約12万点の生物環境試料が保存されており、「環境研究のタイムカプセル」として世界的にも評価されています。郭 CMESには実に多様な専門分野の研究者が所属しています。その幅広さは他の組織と比較しても突出しており、近年は公衆衛生の研究に取り組む研究者もいます。学生たちは多様な研究背景を持つ人材と日常的に接することにより、視野を広げ、選択肢も多様になるでしょうね。活動を通して田辺信介先生(現特別栄誉教授、名誉教授)に心酔し、その直感のままに今に至っていますが、須之内 私が志す生物の分野で研究須之内 頑張っていきます。色々な選択肢が提示されることは学生にもプラスになると思います。郭 私は文科省の国費留学生として1993年に来日。1999年から愛媛大学に着任しました。他の場所で経験したい…と考えることはありませんか。するなら、やはりCMESが一番だと思っていますが、現在の研究を論文にまとめて、他の研究機関に行きたいとの思いもあります。郭先生も言われたように、多分野の方と交わる機会もあるので、そこで可能性を広げたいです。郭 研究者を志すなら、いろんな場所に身を置くことはプラスになります。一方、今回、共同利用・共同研究の拠点に認定されたことで、これまで以上に国内外の研究者たちとの交流は活発になります。そうしたことに刺激を受けて、研究に弾みをつけてください。 環境研究のタイムカプセル|50年間にわたり集められた須之内 私は、沿岸に打ち上げられた|多様な選択肢により 研究活動を充実化|世界の研究の今を知り それぞれの活動に弾みをfull of live information on Ehime University沿岸域の環境や生態系の研究、外洋・陸域も含めた広汎な化学汚染の研究、ヒト・動物・環境の健康を包括的に守るワンヘルス研究が三本の柱。文部科学省の21世紀COEプログラム、グローバルCOEプログラムにも採択。生物環境試料バンク(es-BANK)、調査実習船「いさな」などが知られています。[センターの組織]環境動態解析部門、化学汚染・毒性解析部門、生態・保健科学部門の3研究部門を横串連携させた学際研究を設計し、遂行しています。また国際・社会連携室を窓口に、海外研究拠点を活用し、相手国と共同したフィールド研究を展開しています。[教員、学生の人数等]センターには、教員14人、兼任教員11人、PD11人、博士課程16人、修士課程24人、事務職員・技術職員等計20人が所属しています。化学汚染・沿岸環境研究拠点“LaMer”を支える先端研究センター愛媛大学沿岸環境科学研究センター(CMES)[センターの歴史と展望]特集「先端研究で世界とつながる愛媛大学 _共同利用・共同研究拠点_」6理工学研究科博士後期課程2年生須之内 朋哉さん先端研究機器で化学汚染や毒性を分析。沿岸環境科学研究センター(CMES)センター長OF郭 新宇VOICERESEARCHER

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