植物ウイルス病の症状は、なぜ起こるのか?ウイルスに感染しても発病しない、≪鈍感≫植物を作る食料生産学専攻 農業生産学コース植物ウイルス病と戦わずに収穫を守れるか?キーワード植物、ウイルス、耐病性14教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2分子生物資源学小林 括平 教授私たち人間がウイルス感染によって下痢や肺炎になるのと同じように、植物もウイルスなどの病原体に感染すると、葉が黄色くなったり変形したりする、成長が極端に遅くなる、あるいは全身が枯死してしまうなどのさまざまな症状を示し,作物の場合は「出来」が悪く、すなわち収穫が少なく、商品価値が低くなってしまいます。でも、そのようなウイルス病の症状は、私たちが病気の時に熱を出すのと同じで、ウイルスに不利になると考えられます。そんな症状を、だれが、何のために、どのようにして引き起こしているのでしょうか?遺伝子組換えや次世代シーケンサーを用いた研究の結果から、植物が自ら症状を起こしていることが分かってきました。植物に病害の症状を引き起こしている「犯人」は、実は植物がウイルスから身を守るための「免疫」だと私たちは考えています。植物には、動物が持つようなウイルスと戦う免疫細胞や抗体のような武器がないため、一つ一つの細胞がウイルスと戦うことになります。そのようなウイルスとの戦いが行き過ぎてしまった結果が、病害の症状として現れると考えられます。植物の免疫反応を遺伝子組換えやゲノム編集などの技術を用いてデザインし直してやることによって、必要以上に戦って病害の症状を引き起こすことをやめた、≪鈍感な≫植物を作り出すことができれば、飢餓の解消や再生可能エネルギー用作物の生産効率化に貢献できると考えています。健全 (A)、およびウイルス感染植物 (B, C)発病機構解析用モデル植物
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