愛媛大学 農学部・農学研究科 教員紹介パンフレット 2023年度
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有用植物や微生物、未利用有機物を利用する食料生産学専攻 農業生産学コース資源と環境を保全する持続可能な農業システムを築くキーワード土壌、植物栄養、持続可能な農業16教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2無害な廃棄物を農業で有効に使う上野 秀人 教授土壌肥料学現代の農業は、化学肥料により効率よく食料生産が行われています。しかし主要養分である窒素は石油、リンはリン鉱石、カリウムはカリ鉱石を原料としており、それらは有限資源であるため、世界的に資源枯渇が心配されています。それにもかかわらず、過剰施肥により土・水・大気汚染が生じています。そこで未来社会には持続可能な農業が必須と考え、低投入でも食料生産が可能な農業システムの開発研究を行っています。例えば、マメ科植物や雑草を使うと土壌中の養分が有効化し、共生微生物が窒素を供給するので、10年以上無肥料で水稲栽培が可能であることを明らかにしました。土壌、作物、微生物、水、大気の複雑な元素動態を今後とも解明していきます。私たちが快適な生活を送るためには、膨大なエネルギーが必要であり、日本では発電のために石炭が多く使用されています。石炭を燃焼したときにできる灰には砂のようなものがあり、クリンカアッシュと呼ばれます。セメントに混ぜて建設用に利用されていますが、排出量が多量であるために廃棄されています。クリンカーは多孔質なので、水や養分、微生物が保持される可能性があり、土壌に混入してみると作物の生育が向上しました。水稲栽培ではケイ素が供給されて、台風でも倒れない丈夫なイネになりました。堆肥作りでは微生物活性が高まり、必要な時間が1/3に短縮されました。廃棄物に価値を見いだすと、私たちの生活は豊かになります。クリンカーの電子顕微鏡写真マメ科植物のクローバー有機栽培水稲の生育調査クリンカー施用によるコマツナ生育の向上

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