食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻野菜類の健康への効果を化学的に明らかにする自然が作り出す化合物の改変とAIへのデータ蓄積生命機能学専攻 応用生命化学コース化学を理解し、自然を考え、人の生活を改善するキーワード有機化学、食品化学、生理活性化合物40教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2生物有機化学山内 聡 教授野菜自身が作りだす独特な有機化合物を我々は食事により摂取しています。ポリフェノール類の一種であるリグナン類も野菜類によって作られる化合物ですが、その一つである(-)-セコイソラリシレジノール(1)は、食事により我々の体内に入ると、不飽和脂肪酸の酸化防止のための反応によりラリシレジノール(2)を経て、α-コニデンドリン(3)へ代謝され、これはまた、β-コニデンドリン(4)へ変化すると言われています。しかし、我々の体内での反応によって生成する化合物の我々の健康に対する影響は未知でした。今回、β-コニデンドリンを大量に実験室で合成することによって、アレルギー抑制効果があることが明らかになりました。植物が本来持つ防御機能として、植物に含まれる化合物には、害虫、病気に対する防御作用を持つものがあります。多くの場合、その効果はそれほど高くはないのですが、これらの化合物の構造を基にして、より高い活性を示す化合物をデザインすることが可能です。この研究を構造活性相関研究、ドラッグデザインといいます。上で紹介したリグナン類の構造を改変してボウフラに対して即効性を持つ化合物及び、植物に病気を引き起こすカビであるAletrnaia alternataに対する抗かび活性を持つ化合物をデザインしました。このような構造と活性との関係を示すデータをAIに入れると新たな医薬、農薬の開発に貢献できます。野菜に含まれる化合物の体内での化合反応天然のリグナンをモデルに合成した化合物の抗かび活性
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