食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻製紙技術を応用して環境に優しい新材料を作る廃棄されるバショウから新しい和紙を作る教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2生物環境学専攻 バイオマス資源学コース70福垣内 暁 准教授紙産業教育印刷のにじみを抑えたり、発色を高めるために紙の表面には、粘土と呼ばれる材料が塗布されます。つまり粘土を紙表面に塗るだけで本来紙が持たない特性を付与することができます。我々はこの技術が金属のアルミニウムに応用できないか検討を行い、アルミニウムの表面の一部を粘土に転換し、金属-粘土ハイブリッド材料を作ることに成功しました。この材料は、環境負荷の少ない原料を用いて、常温という低温で容易に合成できる環境に大変優しい材料です。このハイブリッド材料にはアルミニウムでは達成できない、摩擦低減、気化熱冷却など多くの省エネ効果があることが分かっています。現在も実用化に向け研究を継続しています。バショウは、愛媛県の南予地方に植生するバショウ科の多年草です。大洲、内子地方では、古くより、バショウの葉をお盆の棚飾りとして利用する文化がありますが、葉以外は使用されず、廃棄されています。廃棄されるバショウの茎から繊維を抽出し紙を漉いてみたところ、太い繊維と細い繊維が織り交ざった風合いの良い紙が出来上がり、これを“芭蕉和紙”と命名しました。研究をすすめていくと、芭蕉和紙には、透明性、染色性、にじまないといった従来の和紙には見られない特徴を有することが判明しました。さらに、バショウの繊維には、セルロースナノファイバーという最先端の素材も含まれていることが新たに判明し、実用化に向けて研究を継続しています。芭蕉和紙粘土の拡大写真バショウ環境に配慮した材料を作るキーワード粘土、和紙、バショウ
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