食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻地盤を考慮したマングローブ林を使った海岸防護の提案教育・研究内容紹介1海面上昇への適応方法の費用分析教育・研究内容紹介2生物環境学専攻 地域環境工学コースキーワード気候変動、海面上昇、地盤工学76熊野 直子 准教授施設基盤学気候変動によって海面上昇することが懸念されています。海面上昇による被害を無くすには、温室効果ガスの排出を抑制するのはもちろんのこと、海岸線に堤防を設置することも有効であると考えられています。しかしながら、浸水する全ての海岸線に堤防を設置するには費用が莫大になってしまう可能性があります。そこで、将来に渡って温室効果ガスの排出量と海面上昇の高さを計算し、世界中の浸水する地域を抽出します。浸水による将来に渡った被害と、浸水から守るために必要な堤防長さを把握します。被害と堤防設置費用を比較することで、経済的に効率の良い防護費用を算出し、退避など他の対策と組み合わせて経済的に持続可能な対策を提案していきます。堤防の設置には多くの資材や高い技術が必要になってしまい、一部の国や地域では困難です。マングローブ林は熱帯・亜熱帯の河口域に繁茂し、様々な種類の木で構成されています。マングローブ林は海と陸の間に分布することで、波の力を弱め、さらに砂の堆積を促す効果が知られており、海岸防護に活用している地域が存在します。しかし、木が育つには長い時間が必要になり、根付く前に、波によって流されてしまうことが課題になっています。そこで、マングローブ林を温室で育て、倒伏実験をすることで、地盤と根の間の強度を計測します。強度の傾向を把握することで、木の種類や植林方法などの効率的な防護方法を提案していく予定です。温室で育てるヤエヤマヒルギ海面上昇から生活を守る
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