愛媛大学 農学部・農学研究科 教員紹介パンフレット 2023年度
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻多様な生物種に対するリスクを予測するイン・シリコで有害性をスクリーニングする教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2生物環境学専攻 環境保全学コース84石橋 弘志 准教授生態系保全学※農学研究科研究グループ(ARG)「農環境・生態系の保全と食の安全に係る 包括的有害物質監視・リスク評価研究グループ」メンバ−人間活動によって生じる地球規模での自然環境の悪化や生態系の破壊が危惧されています。そこで地球温暖化や化学汚染などが人間を含めた生態系に及ぼす影響とリスクを明らかにするため、主に刺胞動物(サンゴ)、甲殻類(アミ)、魚類(ヒメダカ)、(水棲)哺乳類などを対象に研究を行っています。核酸、アミノ酸、タンパク質、脂質、ビタミンなど様々な分子によって細胞が作られ、細胞が集合して組織となり、組織が集合することで、生体を形成しています。多様な生物種の分子レベルを中心として、細胞→組織→個体→集団レベルに対する高水温や環境汚染物質などの有害性・影響濃度を明らかにし、それらと実環境中濃度との比較などからリスクの予測を試みています。医薬品の開発ではイン・シリコ(コンピュータ上で作り出された)で医薬品とその標的分子との相互作用を解析し、医薬品候補をスクリーニングしています。一方、世界では1億4000万種類以上の化学物質が登録されており、我々は多くの恩恵を受けている一方、生態系を構築する多様な生物種に対しては未知の有害性を示す可能性があります。そこで多様な生物種の内分泌系(エストロゲン受容体など)や脂質代謝系(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体)などに関与する核内受容体などの生体分子に着目し、これらと化学物質との相互作用をイン・シリコでスクリーニングしています。多様な生物種に対して有害性を示す可能性のある化学物質の探索・同定や毒性影響の生物種間差・感受性因子の解明を行っています。メダカエストロゲン受容体(左)に対する17β-estradiolのイン・シリコ相互作用解析(右)無処理(左)と化学物質処理(右)のヒメダカ胚の発生異常地球環境の安全・安心のためにキーワード地球環境、生体分子、生態系保全

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