愛媛大学 農学部・農学研究科 教員紹介パンフレット 2023年度
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食料生産学科・専攻生命機能学科・専攻生物環境学科・専攻日本初のアグロエコロジー(農生態学)侵略的外来種など有害生物と闘いながら絶滅危惧種らも保護し管理する(IBM)教育・研究内容紹介1教育・研究内容紹介2生物環境学専攻 環境保全学コース86日鷹 一雅 准教授農生態学近年、世界各地、国連、FAO等でよく登場するようになったAgroecologyは、1980年代に生まれた生態学という学問を基礎にした持続的な農業、フードシステムを実現するための科学分野で、今や生物学的な分野だけでなく、人文・社会学分野も包括した学際的分野です。本研究室は、我が国でははじめて開講され草分け的存在として活動しています。伝統的食農システムや有機農業、IPM(総合的有害生物管理)、農業と密接に関連した生物多様性保全・再生・修復を題材に、私たちの生存基盤である農と食を取り巻く環境問題の解決の糸口になるような基礎的な生態学の研究を現場フィールド調査を全国、世界の皆さんとともに進めています。生物多様性には、有益種、有害種、更に害でも益でもない「ただの虫」のような三種群があります。また「共存」と「共生」の間の分別は肝要です。生物学的に共生の相利的成立は極めて希であり、農業の現場ではペスト(有害種を疫病にたとえて)をうまく個体群コントロールし、有益生物の機能は活かし(天敵や受粉生物)、一見生産に無関係のような「ただの生物」をも視野に入れ、絶滅危惧ならば希少個体群を保護、有害生物の予備群には監視が必要です。ただの虫も「ただならぬ虫」なのです。グローバリズムによる外来種問題と生物多様性の危機が激化する人新世では、総合的生物多様性管理IBM(Integrated BiodiversityManagement)を目指すのが急務なのです。田んぼの周りには様々な生物が共存し活かされていたスクミリンゴガイ持続可能な農業環境と食農システムの道を探るキーワードアグロエコロジー、生態学、農業生物多様性※農学研究科研究グループ(ARG)「農環境・生態系の保全と食の安全に係る 包括的有害物質監視・リスク評価研究グループ」メンバ−

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