愛媛大学 ガイドブック 2024
4/84

いま、人類には、地球温暖化という深刻な問題があります。それに加えて、収束に近づいているようですが、3年前からは、新型コロナウイルスによる感染症が世界中の人々を苦しめています。さらに、1年前には、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。ロシアによるウクライナ侵攻による惨状を見て、人々は「21世紀にもこんなことが起こるのだ」と驚き、憤り、平和や人権、民主主義はとても危うい微妙なバランスの上で初めて成り立つものだと、改めて認識させられました。いま、世界は、共有できる「価値観」を失い、漂流しているといってもよい状態だと思います。 コロナ禍でわかったことは、(1)世界は完全にグローバル化していること、(2)最先端の科学に基づいた方法(mRNAワクチン)が有効な感染防止策になったこと、そして、(3)政治家も、専門家も、そして、私たちも、収束に向けた戦略や収束後のビジョンを描けなかった/語れなかったことではないでしょうか? また、人権や民主主義についても、どのような「価値観」であれば再び共有できるのかについても、ビジョンは語られていません。 大学では、グローバルな体験をすることもできます。最先端の科学に係わる専門知識やより正しい情報を得ることもできます。皆さんは、大学での学びを通して、コロナ禍のような困難な状況が起こっても「科学的知識と論理的思考による想像力とそれに基づいた行動力を身に付け、他の人にビジョンを語れる人」になって欲しいと思います。「他の人にビジョンを語れる」ようになることこそ、学術の府である大学で学ぶ価値だと思います。 大学生は、社会人になる直前の段階です。大学生のうちに経験した試行錯誤や失敗は、皆さんの財産になります。多くの経験をして、自分の中の「引き出し」の数を増やしてください。皆さんが生きていく今後の世界、社会、地域社会を想像し、自分がその中でどのように生きていくか、活躍するかをシミュレーションして、それに必要だと思う活動に取り組んでください。愛媛大学は、皆さんを全力でサポートします。愛媛大学長仁科 弘重(2023年4月)03 Ehime University Guide Book困難を越えて、ビジョンを語れる人に!

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る