福井県立大学広報誌 FPU NEWS 第119号 2023 夏号
3/8

数%2%パン用小麦自給率肉類自給率53% 大豆は完熟種子を利用する穀物(豆)としてばかりでなく、未熟種子も野菜(枝豆)として利用できます。 そこで、タンパク質源としての大豆(豆・枝豆)の福井県内での栽培限界を把握し、効率的な作付けや土地利用に繋げることを目的とし、いつ種まきするといつ開花、収穫の時期を迎えるか、どれだけの収穫量があるかなどについて調査しています。この調査を通して、福井県の気候に合う収穫量や収益性の高い大豆の品種選定や新たな作型の提案を目指します。大豆自給率6%枝豆としての収穫期を迎えた大豆チーズ自給率14%県産乳酸菌によるチーズ 世界人口が80億を突破した現在。動物性タンパク質の供給不足に備えて、代替食品の開発が世界レベルで急激に進んでいます。そこで、主原料に福井県産大豆を使用してハンバーグに類似した植物性代替肉の開発を進めています。 粒状大豆タンパクを原料に加えるとともに、スパイスの利用など調理方法を工夫することで、大豆臭を感じない肉らしい香りと食感の「大豆肉ハンバーグ」を開発中です。今後は県内食品業者と連携して共同開発を進め、完成度を高めるとともに、新しい代替肉食品の創出を目指します。パンの丘(仮称)試作中の大豆肉ハンバーグオーツ麦自給率オーツ麦植物性代替肉の加工・調理方法の開発生物資源学科 高橋 正和 准教授福井県の気候に合うパン用小麦の品種開発創造農学科 村井 耕二 教授 福井の気候に合う小麦としては、村井教授が開発した「ふくこむぎ」があり、現在うどん、ラーメン等様々な食品に使用されていますがパン向きではありません。そこで、福井県の気象状況に適した早生型パン用小麦の育成・開発を進めています。早生型の合成小麦を用いたレトロブリーディングというユニークな手法により、東北地方向けの晩生パン用小麦「ゆきちから」を早生化し、福井県の気候に適した早生型のパン用小麦を開発しています。 令和4年度の調査により、既存品種より早生化し、遺伝的にも安定した系統の育成が確認できました。新品種名候補として「パンの丘(仮称)」と命名し、現在収穫物の調査を進めており、脱穀して製パン適性試験を行う予定です。福井県の気候に合う大豆の品種選定と作型構築創造農学科 森中 洋一 教授県産乳酸菌によるチーズ開発生物資源学科 日竎 隆雄 教授 我が国のチーズの輸入量・消費量は年々増加しており、チーズの需要が益々高まっています。そこで、県産のソバから取得した福井生まれの乳酸菌を用いた新しい製法によるチーズを開発し、福井ブランドのチーズの創出を目指します。 まず、福井県産のソバから植物性乳酸菌を取得し、試験したところ、従来の乳酸菌と遜色ない旨味と腸内環境を整えるのに役立つ短鎖脂肪酸の高い産生能が確認されました。この植物性乳酸菌に最適なチーズ製法の開発を進めるとともに、食品としての新たな機能性について検証していきます。シリアル食品原料の穀物品種の開発生物資源学科 西嶋 遼 助教 シリアル食品の原料となるオーツ麦は、国内では産地が北海道に限られるなどの栽培適地の狭さや生産性の低さが問題となり国内生産が非常に少ない状態です。そこで、福井県の気候でも生産可能な収穫量の多いオーツ麦の品種開発を行います。重イオンビーム照射により変異誘発し、大学内の圃場で栽培して収穫量や育てやすさの優れた個体を選抜していきます。生物資源学部3

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る