岐阜大学 地域科学部・地域科学研究科
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地域科学部10 本セミナーでは、現在の社会に生きる人間の心理について、主に発達心理学や社会心理学の知見をもとに学び、研究を行っています。人の心の動きに関する学問は、身近で関心をもちやすいかもしれません。一方で、人の内面に焦点を当てるため、あらゆる問題を個人の能力や特性の問題にしてしまう(そのように使われてしまう)危うさもあります。地域科学部ではさまざまな分野の学問を学ぶので、人間の心理を個人の問題としてのみとらえるのではなく、社会構造や自然環境などとの関係でとらえようとする姿勢が強い学生が多いです。他分野の学びを生かしてより多角的に人間の心理をとらえられるのが、地域科学部で心理学を探究していく面白さの一つです。 本セミナーでは、まず、多様な人々の心理を具体的にイメージできるように、ルポルタージュ的な文献の輪読からスタートします。学年が上がると、さまざまな心理現象を科学的に分析する力を身につけられるように、より理論的な心理学の論文や本を読んでいきます。文献を読んで議論するだけでなく、共同研究も行っています。昨年度の共同研究では、「親の養育態度と過剰適応傾向の関係」をテーマに、アンケート調査を行いました。卒業論文では、各セミナー生が計画を立てて調査を実施し、その結果を分析、考察します。 セミナー生の関心は、第二反抗期とアタッチメントの関連性、「敏感な人」と社会の関係性、過剰適応と性格、同調圧力からつくられるコミュニティ、児童期からの好きなものと精神安定度の関係など多様です。学生の関心を中心に据えながら、現在の社会に生きる人間の心理を具体的につかみ、科学的に探究する力を身につけられるよう心がけています。峰尾 菜生子セミナー(心理学)

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