岐阜大学 地域科学部・地域科学研究科
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地域科学部の活動と成果18 地域資料・情報センターには、岐阜県内の市町村(平成の合併前の市町村分を含む)の様々な行政・歴史・伝承・文化・観光資料に加えて、500点以上の「水」関係の資料があります。「水」は「ヒト」を含む全ての生物の源であるという観点から、環境・生活・経済・工学・伝承というように、様々な視点から学際的に収集を行っております。特に、岐阜の地域資料として、清流「長良川」の河口堰建設や、徳山ダム建設に関して、50年以上に亘る住民運動の具体的な動き、政治活動、海外環境団体の動き等3000点以上の資料を関係者から寄付していただき、整理しております。これらの資料項目は、一部の個人情報を除き、HP上に乗せ、閲覧、貸し出しも行います。地域史研究者に活用していただけるようFacebookで案内しています。 また、岐阜県を中心とした東海地域の史料を収集・整理し、目録の作成も行っています。現在は、教育学部が所蔵している「池田郡八幡村竹中家文書」(現・池田町)の史料整理を進めています。竹中家は、江戸時代に八幡村で庄屋をつとめた家で、総数5400点以上にもなる史料群は、村落の紛争や治水、中山道に関する史料など、豊富な内容を含んでいます。年1回発行している『地域史料通信』では、史料整理を進める中で発見した、興味深い史料を紹介しています。昨年度は、「竹中家文書」に伝来している、天保9年(1838)に派遣された幕府巡見使(江戸幕府が全国に役人を派遣したもので、監察制度のひとつ)にまつわる史料を用いて、巡見使に対する村側の対応を紹介しました。今後も、多くの皆様に地域史料の魅力をお伝えし、活用できるよう、目録の作成と『通信』の発行を続けていきたいと思います。 化学メーカーが医薬品や農薬、化粧品、添加剤等を対象として、有益な機能を持つ新しい化合物を開発して売り出すためには、法令やガイドラインに規定された毒性試験を通過しなければなりません。せっかく新しい化合物を開発しても毒性試験が通過できずに失敗する場合も多く、この経済的損失は世界の化学業界全体で年間2000億円以上に上ると推計されます。 この課題を解決するために、私たちは新しい化合物の Ames試験(※) の結果が予測できる化学者向けの毒性予測ソフトウェア「xenoBiotic」を「岐阜大学発ベンチャー」に認定されているゼノバイオティック社(https://xenobiotic.jp/)と共同で開発しています。ソフトウェア開発にあたっての基盤技術について特許を取得しました。 また、地域科学部教員5名で企画した「毒性予測ソフトウェアによる効率的な化合物開発の支援」は「地域展開ビジョン2030 地域創生プロジェクト」の一つに選定されました(図)。 新化合物開発において、毒性試験が通過できないために生じる経済的損失などを大幅に低減することができるよう、xenoBioticの予測精度向上および早期実用化を目指しています。※世界的に普及している遺伝毒性試験。ネズミチフス菌4種と大腸菌1種の計5種の菌が、試験物質によってどの程度の突然変異を起こすかによって遺伝毒性の有無を判定する。プロジェクト概念図(『地域展開ビジョン2030 地域創生プロジェクト』冊子より)毒性予測ソフトウェアによる効率的な化合物開発地域科学部の活動と成果地域資料・情報センターURL https://www1.gifu-u.ac.jp/~forest/rilc/

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