44Faculty of Applied Biological Sciences応用生物科学部は、生物科学・生命科学の学理を究明し、それらと関連した技術を開発し、それらの成果を生物産業に応用することでより良い社会を実現することを目指しています。このような目標の達成に貢献できる人材を養成し、社会に送り出します。応用生物科学部は以下のような能力を養うための教育を組織的に展開し、広く生物科学・生命科学や関連産業に貢献できる人材を養成します。a. 生物科学・生命科学の学理を究明する力。 b.変貌する社会環境に対して主体的に対応する力。c. 変貌する社会において自ら将来の課題を設定する力。d. 幅広い視野・経験と広い専門的知識に基づき柔軟かつ総合的な判断を自ら下す力。応用生物科学部生産環境科学課程 流域管理学研究室 教授 平松 研 教授 大西 健夫流域の水・物質循環を読み解き、人と自然とのよりよい関係を探る 地球には水を絶え間なく循環させる精緻な仕組みがあり、人間活動をはじめとした生命活動と環境との相互作用の結果が、水の中の様々な物質、すなわち「水質」として反映されます。裏返せば、水に水質として刻まれた生命の痕跡を通じて、その地域の人間の有様や生態系を伺い知ることができるのです。私たちの研究室では、この水がもつ情報を手掛かりとし、陸上における水循環の基本単位「流域」を対象にして水・物質循環を読み解き、得られた科学的知見にもとづき、人と自然との良い関係を探っています。特に、一次産業である農林水産業の在り方に強い関心を寄せています。たとえば、湿地や水田といった湿潤な環境下では植物プランクトンの光合成に不可欠な鉄が水に溶け込み、河川を通じて海にまで流れ込んでいますが、湿地や水田の減少、温暖化現象がこの鉄の循環にどのような影響を及ぼすのか、という研究を行っています。現在までに、日本における水田的土壌の重要性や、永久凍土の凍結融解現象が鉄の循環に深くかかわっていることがわかってきています。また、水や窒素、炭素、などの安定同位体の分析を通じて、水域や土壌圏における生態系の構造理解に資するような研究も行っています。 育成目標生命のチカラを 生命のために。応用生物科学部
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