岐阜大学教育学部音楽教育講座近野 賢一 准教授今回のオペラ公演への参加は、私に出演依頼があったことがきっかけで学生たちに声をかけて実現しました。舞台を踏んだ櫻林さんと佐藤さんは、厳しい稽古やプロの中で歌い演じる体験を通して成長し、これからの良い糧になったと感じています。今年から櫻林さんは岐阜県の教員になりますが、ぜひ今回の経験を生かして生徒たちに音楽の楽しさを伝えてもらいたいです。また佐藤さんは、今年もオペラに挑戦し、さらに声楽の上達を目指してほしいです。令和5年2月に行われた卒業記念演奏会。堂々と歌唱する櫻林さん。19世紀末にフランスの作曲家J.マスネが童話「シンデレラ」をオペラ化した作品。岐阜屈指の音楽堂・サラマンカホールならではのパイプオルガンを使った編曲と新演出による公演に、近野准教授がシンデレラの父・パンドルフ役、音楽教育講座の学生9名が精霊役や合唱団員として出演。69サラマンカホールプロデュースオペラJ.マスネ作曲「サンドリヨン」Q.今回のオペラ公演の応募背景と、稽古について教えてください。櫻林 きっかけは近野先生に声をかけていただいたことです。7月と8月に教員採用試験を控えていましたが、思い切って応募しました。周りは経験豊富な方ばかりで緊張しました。佐藤 私はプロの世界を見てみたかったからです。講義も大切ですが、声楽を上達させるためにもっと経験を積みたいと思いました。オーディションは緊張しましたが、2カ月前から近野先生に丁寧にレッスンをしていただいていたので自信を持って歌うことができたと思います。櫻林 稽古が始まったのは公演の4カ月前です。毎回動画を撮影して客観的に自分の姿を見返しながら、近野先生に指導されたことを意識して練習しました。佐藤 フランス語の発音法や演技を練習しました。8人の精霊役の中でも私は落ち着きのない精霊役だったので、役になりきるために細かな動きや表情などを研究しました。Q.大変だったことや、経験によって得られたことはありますか?櫻林 人前で歌ったり演じたりすることが苦手だったのですが、動きが小さいと何をしているのか伝わらないので、舞台では大げさに動作することを意識しました。公演後共演者の方に「いい演技だったよ」と褒められてとてもうれしかったです。入学当初、人前で震えながら歌っていた自分が嘘のよう。オペラ経験のおかげで教員採用試験の面接も緊張することなく受けることができました。プロの歌や演技を間近で見られたこと、この作品に関われたことは人生の宝物です。佐藤 稽古期間中、中学校の教育実習でオペラのDVD鑑賞の授業を担当することがありました。実体験を話すと生徒に興味を持ってもらえてうれしかったです。自分の経験をもとに話すと音楽の魅力をより伝えることができるんだ!と学びました。Q.オペラに出演して良かったことを教えてください。佐藤 入学前は胸を張って好きだと言えることがなかったのですが、声楽を近野先生から熱心にご指導いただき、もっと極めたいと思うようになりました。さまざまな音楽経験を積み、将来は音楽の楽しさをより多くの生徒に伝えられる教員になりたいです。櫻林 今回の経験を通して、仲間とともに一つのことを作り上げる喜びを感じました。この感動を生徒たちに教えていきたいですし、音楽の専門性をこれからも磨き続けていきたいです。オペラ作品に関われたことは人生の宝物。今後も挑戦し、さらにスキルアップを目指す。『岐大のいぶき』で、いまを駆ける岐大生を見てみよう!!
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