群馬大学広報誌 GU’DAY(グッデイ) 2019 Summer
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行政の目線だけでなく、さまざまな目線から西村先生 『公務と法律』のディレクションを選択している人はやはり将来の進路が公務員の人が多いですね。この授業はそれらの学生に向けて、かつてあったハンセン病の差別問題、また、それに関する法律を行政法のテーマとして扱い、学びを深めるのが目的です。実際、将来公務員になって福祉の現場で働く人もいます。ビジネスやお金で解決できない問題がある、それを解決するには身をもって体験することが大切です。でも目的は一つではなくて、他にもその地域の人たちがどういう風に療養所の患者さんと接していたのか、地域社会の中にもいろいろな歴史があるということを知ってほしいと思っています。今、療養所に入所している方々も高齢化が進んできています。入所者の方々がどういう気持ちで、どんなふうに療養所の中で暮らしてきたかということは、入所者さんたちが文章にしたり、証言したり、その映像が残っているので、様々な形で見聞きすることはできます。でも、直接行ってお話を聞ける貴重な機会を得られるのはあと5年くらいなのかな、と。①⑤④1 温泉街の中心に位置する湯畑。七本の樋のうち、一番手前を流れる湯が栗生楽泉園まで引かれている。2 所内児童の教育が行われた旧草津小・中学校分校の講堂。現在は物置になっている。3 「重監房」の跡地。建物の基礎のみが残り、部屋の狭さを窺わせる。4 栗生楽泉園内の入所者納骨堂。手前には、強制的に流産させられた胎児の供養碑がある。5 かつてハンセン病の治療薬とされた、ダイフウシの種子から作られた油。6 「重監房資料館」で展示されている「特別病室」の再現模型。戦後解体されるまで、劣悪な環境下で多数の死者を出した。7 現在ハンセン病の一般的な治療法である多剤併用療法で用いられる特効薬。8 重監房の跡地からは、被収容者を閉じ込めるための南京錠が出土した。9 入居者の方を訪れた際、一緒に作った天ぷら。お菓子や飲み物をふるまっていただき、日々の暮らしの事を語ってくださった。②⑦⑧⑨⑥③昨年フィールドワークに参加した学生が撮影した写真               14| GU'DAY Issue 06

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