群馬大学広報誌 GU’DAY(グッデイ) 2019 Summer
8/26

01 ABO式血液型は輸血医療になくてはならない検査で、法医学でも使われます。それは、「この血痕が誰に由来するものか」などといった個人識別のツールとして役立つからです。また、日本では、多くの人が自分の血液型を知っており、遺伝することもよく知られています。しかし、血液型の正体についてはよく知られていません。群馬大学 大学院医学系研究科法医学講座准教授 佐さのりえ野利恵 先生(医学博士)『ABO式血液型の謎』 その正体は簡単にいうと、血液中の赤血球の表面にある、糖の連なりです。その構造の違いをA型、B型、O型と呼び分けています。もう一つ重要なポイントが、ABO式血液中の上澄み成分を「血漿」といいますが、各血液型にある「抗体」です。「抗体」は菌やウイルスなどの自分にとって異質なものに結合し排除する、体にとって大切な免疫の仕組みを担っています。人は、自分の持っていない血液型物質を異物と認識する「抗体」をもともと持っているため、違う血液型の血液を輸血すると、この「抗体」が作用し、赤血球を壊してしまうのです。このため、輸血には血液型を合わせて行うことが求められます。群馬大学大学院医学系研究科医科学専攻博士課程修了。その後、群馬大学学術研究院講師(大学院医学系研究科主担当)を経て、2017 年 8 月より現職。 【研究分野】法医学、輸血学、DNA 多型 【主な研究テーマ】法医遺伝学、輸血学、ABO 式血液型、法医病理学、死後画像検査そもそもABO式血液型って何?研究紹介ProfileThemaIntroduction to one of the GU Research !8| GU'DAY Issue 06

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る