群馬大学広報誌 GU’DAY(グッデイ) 2019 Summer
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0203 ABO式血液型が遺伝する、ということはご存知の方も多いかと思います。血液型に関する遺伝情報、すなわちABO遺伝子が親から子に受け継がれます。遺伝子、とは、簡単にいうと細胞や体を形作る様々なタンパク質の設計図のことです。そして、ABO遺伝子は糖と糖をつなぎ合わせる働きをもつ酵素の設計図です。その結果できる酵素については、まず、血液型の土台となる糖の並びが、②フリップ中、緑色で示されています。A型ではA遺伝子から作られるA酵素によりN-アセチルガラクトサミンという糖が一つ新たに加わります。B型のひとがもつB遺伝子はA遺伝子の情報とごく一部が異なるため、B酵素は、働きが少し変わり、ガラクトースが加わります。その結果できあがったものをB型と呼んでいます。O遺伝子は遺伝子情報が一文字抜けただけで、糖をつなげる力のないタンパクができます。よって、新たに糖は加わりません。このように、持っている遺伝子情報の一部が個人間で異なっているため、A、B、O型の違いが作られます。考えようによっては、O型の細胞はA型、B型の細胞に比べて、糖をつなげる作業が一つ少ない分、ほんの少しだけ楽をしているのかもしれません。血液型の違いは、どうして起きる? ところで、血液型は赤血球だけでなく、唾液、胃粘膜にもあることから、これらを使った血液型判定も行われます。一方、神経や筋肉にはABO式血液型物質はありません。つまり、血液型物質は細胞の種類によって、オンオフが調節されているという特徴があります。このメカニズムの秘密を私たちの研究室で明らかにしています。赤血球以外の部位でも、ABO式血液型は現れます研究紹介9GU'DAY Issue 06 |

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