群馬大学理工学部・大学院理工学府 案内 2019
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コンクリートの耐火性能の評価地盤災害の「犠牲者ゼロ」を目指して広島風お好み焼き家庭菜園 鉄筋コンクリート構造物(以下、RC構造物)が火災を受けると、表層部が爆発的に剥離・剥落するいわゆる爆裂(図)が生じることがあります。コンクリートが剥落すると内部鉄筋は露出し高温により品質は大きく低下し、RC構造物が崩壊する危険性があります。この爆裂の原因には、熱応力説と水蒸気圧説の二つがありますが、まだ未解明な部分があります。最近起こったコンクリート構造物の火災事故として、例えば、2008年に起こった首都高速5号池袋線の事故があります。この事故では復旧工事費用約20億円、損失額が40億円となり被害は甚大なものでした。コンクリートの爆裂を抑制する方法として、ポリプロピレン短繊維などの有機繊維を混入する方法とコンクリート表面に耐火被覆を設置する方法がありますが、効果を確認するためには実験の実施が不可欠です。そこで、本研究グループでは、火災時のコンクリートの爆裂性状を評価する方法の開発を進めています。また、火災を受けたRC構造物の耐久性(どこまで、長持ちするのか?)の評価方法も検討しています。 日本には、軟弱な粘性土や緩い砂層からなる厚い沖積地盤が広く存在する一方、山地と丘陵地が国土の約3/4を占め、多くの活断層と火山が存在し、火山性堆積地盤も多く、風化が進んだ安定性の低い自然斜面や急傾斜地が数多くあります。そのため、地震による液状化が発生しやすい地盤、地震や豪雨を誘因とするがけ崩れ・地すべり・土石流などの土砂災害が生じやすい箇所が極めて多いです。今後は地球温暖化が継続し、恒常的な海面上昇、集中豪雨の頻発、巨大台風による高潮などの要因が複合する地盤災害が発生する可能性が高まっています。 私たちの研究室では、地盤災害の発生を未然に防止し、地盤災害の「犠牲者ゼロ」を目指して、現場調査、室内模型実験、数値解析などを駆使して、地盤災害危険度の高精度予測や対策などの技術を開発しています。また、今後発生が危惧される南海トラフ地震や首都直下地震のような強い地震に対して、液状化被害の低減を図るために、宅地と公共施設の一体的な液状化対策に関する研究も行っています。 地元が広島なので、小さい頃から広島風お好み焼きを焼いていました。現在も研究室で広島風お好み焼きパーティを行い、学生に振舞っています。広島風お好み焼きは薄く生地を焼くため生地の水加減が重要ですが、もともと粉物を混ぜることで成り立つコンクリートの研究とコンクリートを焼く研究(耐火性)をしており、相通ずるところがあります。 家庭菜園をやっています。野菜を育てる土は柔らかくて、有機物が多く、空気が入りやすい。建物を支えるには硬い土で堅固な地盤がよい。土が違うけれども、それぞれ役に立てていると感心しています。准教授 小澤 満津雄   Ozawa Mitsuo准教授 蔡 飛 Cai Fei 「まずやってみること!」をお勧めします。何かを始めるには勇気が必要ですが、始めてみればいろんなことが見えてきます。いろんなことにトライして、自分にあった分野を見つけてください。あとは、楽しむことですね・・・ 私たちの暮らしは社会基盤の支えなくしては一日たりとも成り立ちません。災害から大切な人たちをしっかり守りたい、よりよい社会環境をつくりたいと思う方はぜひ来てください。メッセージメッセージヒミツの特技ヒミツの特技25右)加熱後:爆裂の発生コンクリートの加熱実験 左)加熱前チベットに発生した巨大地すべり

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