群馬大学理工学部・大学院理工学府 案内 2019
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人工知能の更なる進化コンクリートのお医者さん?料 理たこ焼き 私は、人工知能の研究を始めて、もう20年近くになります。昨今、人工知能の成果がニュースをにぎわせ、その威力に人々を驚かせるようになってきました。今日のように、人工知能が実社会における様々な産業に導入されるようになるまで、幾多の紆余曲折がありました。数年に一度、世界中の研究者を驚かすブレークスルーが起こり、そのたびに進化を遂げてきました。そのブレークスルーのほとんどは数学的な発見によるものです。私は、主に理論的な側面から人工知能の性質を明らかにし、更なる発展につなげてきました。同時に、若いころから一つの分野に偏ることなく、様々な応用を視野に入れて研究をしてきました。最近では、与えられた画像を大量のカテゴリに分類させたり、顕微鏡画像を入力してウイルスや組織を解析させたり、河川などにおける病原体による健康リスクを予測させたり、細胞内のメカニズムの解明に役立てたりするなど、画像工学、医用工学、環境工学、分子生物学と、あらゆる分野への人工知能の活用に力を入れています。 皆さんは波というと海岸に打ち寄せる波や、川に石を投げて現れる波紋を想像するかもしれませんね。でも、もっと身近な音や光、電波、地震等も波の一種です。波は離れた場所に伝わっていくので、遠くのモノや目では見えない場所にあるモノを見つけることができ、レーダなどに利用されています。 私の研究室では、電波を使ってコンクリート内を探査し、その劣化を診断する新たなレーダ技術を研究しています。コンクリートは熱により脆くなったり、ひび割れが出来たり、鉄筋がサビたりして劣化します。そこで、コンクリート中の鉄筋を電磁石で震わせながら、その動きを電波で測定することで、劣化を診断する手法を開発しています。また、コンクリートの表面の傷や内部の様子を波の性質を使って映像化する研究も行っています。 人間だけでなく、建物も既に高齢化社会を迎えています。目指すのは『コンクリートのお医者さん』といってもいいかもしれません。電気電子の知識を使って、皆さんが将来も安心して暮らせるような診断技術の研究を続けていきたいと思います。 料理が好きです。クックパッドに載っているものから始めて、こんなアレンジをしたら、こんな味になる、など、いろいろ試して楽しんでいます。 学生の頃からたこ焼きも研究しています。ある日、美味しくなるヒミツの具材を発見してしまい、皆にふるまうことが何よりの喜びとなりました。学園祭で出店していますので、ヒミツを確かめにぜひ群大に来て下さい。准教授 加藤 毅 Kato Tsuyoshi准教授 三輪 空司  Miwa Takashi 難しいこともあきらめずにずっと考えているとだんだん本質的なことが見えてきて、どんどん面白くなります。そのとき、いま勉強していることが必ず役立ちます。 高校時代は化学が得意で物理、特に波動は苦手でした。でも今、波を使った研究をしています。目的意識をしっかり持てば、苦手な科目も得意にできます。いろいろな分野に興味を持って、やりたいことを見つけて下さい。メッセージメッセージヒミツの特技ヒミツの特技31鉄筋腐食探査レーダ専用の装置で人工知能を実現しています

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