群馬大学 CAMPUS GUIDE 2019
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現在社会では自動運転が大きな話題になっていますが、群馬大学では次世代モビリティ社会実装研究センターにおいて、自動運転自動車の研究開発を行っています。 自動運転自動車と言っても、自動運転のレベルにはいろいろなものがあります。自動ブレーキのように緊急のときだけ人間のドライバーの補助をするものから、全く人間のドライバーが乗らずに自動車だけでどこへでも行けるものまで、5つのレベルに分類されています。前者の自動ブレーキのレベルは自動運転のレベル1であり、後者のどこにでもドライバーなしで行けるものはレベル5です。現在自動ブレーキのようにドライバーを補助する自動車は市販されていますが、ドライバーが必要ないレベルの自動運転技術を搭載する自動車は実現されていません。群馬大学で研究開発している自動運転自動車はレベル4と呼ばれるもので、人間のドライバーは必要としないが、バスや地域限定のタクシーのように、走行できるところが限定されているものです。 群馬大学の自動運転自動車がドライバーが必要ないことを重視している理由は、そのことが現在の日本の社会問題を解決するのに本質的な意味を持つからです。日本の社会構造は少子高齢化社会に向かっていて、たとえばバス・タクシー業界ではドライバー不足が大きな問題である一方で、そのような交通を必要としている高齢者はますます増えていきます。したがってドライバーのいらないバスやタクシーを多く走らせれば、このような需要に応えることができます。一方、群馬大学の自動運転自動車が地域を限定して走らせることを想定しているのは、それが技術的に早く実現できるからです。もちろん皆さんの家にある自家用車のように、日本全国どこへでも自由に行ける自動車で人間が運転しなくても良いなら、これは理想的です。しかしこれが実現するにはもう少し時間がかかると予想しており、近い将来実用化するとなると地域を限定した自動運転自動車の方が実現性が高くなるからです。先に書いた通り、それでもドライバーがいないバスや地域限定タクシーが実現できますから、社会にとって大きなメリットとなるはずです。 群馬大学の自動運転自動車に関する活動は、このような自動運転自動車を開発するだけに留まらず、実際に社会の中でそれを用いた実験を行い、本当にそこに住んでいる人のためになるかどうかまで検証することも大きな特徴です。 最新のシステムを導入したのは良いが、それが人々のためになっていないのならそのシステムは無意味です。このような事態を避けるため、自動運転自動車を社会の中でどのように使用して運用するのが最適かという文化的な側面も研究しています。これまでに神戸の筑紫が丘ニュータウンなどで実験を行ってきましたし、現在は前橋の中央前橋駅と前橋駅間のシャトルバスの自動運転化の実験を進めています。もちろんこれらの実験は群馬大学だけで実現できるものではなく、それぞれの地域の行政と多くの企業の協力関係の下、実行されています。このように幅広い団体と協力して自動運転自動車の開発を行っていることも、群馬大学の強みになっています。RESERCH馬車から自動車、そしてドライバーのいない車両へ自動運転車両を用いた社会変革群馬大学の自動運転研究とその特徴ドライバーがいないことのインパクト自動運転の産業創出を目指してhttp://crants.opric.gunma-u.ac.jpURL04
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