群馬大学広報誌 GU’DAY(グッデイ) 2020 Winter
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Prole教育学部 保健体育専攻 教授木山 慶子 先生(博士(体育科学)) Kiyama KeikoQ5 木山先生は、ご専門が表現運動領域(特にダンス)ですが、ダンスに興味をもったきっかけを教えていただけますか。木山先生 私はずっとダンスをやってきたので、「このダンスの魅力をどうにかして子どもたちに伝えたい」と思っていて、学校体育の中ではこういう領域を「表現運動」の領域というのだけど、そこならその思いが実現できるかもと思ったことがきっかけです。Q6 実際、学校でダンスの授業をするときの留意点ってありますか?木山先生 そうですね。島田さんは、例えば、体育館で「風になりなさい」と言われたら風になれますか。島田 一生懸命やります。木山先生 (笑いながら)偉いですね。島田さんは大学生だし、授業だからやらなきゃいけない、みたいなところがあると思います。でもこれが、特に小学校5、6年生になると、自我みたいなものがどんどん目覚めてきて、人前で踊ったり、人前で身体表現をしたりすることが、すごい苦痛とか恥ずかしさがある人たちがいると思っています。島田 小学生の時はそうでした。木山先生 マグマになれとか、抽象的なものにテーマを決めてそういう風になれって言われたら、引きますよね。だからその対策のために、小学校1年生のときから「系統的な学習」をしてほしいということです。小学校1年生の子たちっていうのは、本当になんにでもなれる。あの年代の子たちって。「ゴリラやってみて」と言ってもたぶんゴリラになれるし「パンダどんなふうに動く?」と言ってもパンダになれる。だから、この時期から表現運動の楽しさを毎年毎年系統的にやっていけば、まずは苦痛でない。表現運動の基礎基本というのは、即興的に色々なものになれたり、色んな動きになれたりする経験をいくつしたかによるのだと思います。例えば1年生の時に10とか20とか30とか、そのくらい動きを経験すれば、2年生でも30やれば60個の動きができるということになりますよね。それが毎年積み重なっていけば、おそらく100くらいの自分の中での動きのストックができる。表現運動は、学習の積み重ねだから。基礎基本の積み重ねが無いっていうことが、恥ずかしさの原因だと思います。小学校3年生くらいまで系統的な学習がなくて、いきなり小学校5、6年生とか中学校で「はい、ゴリラになってください」というのは無理な話。Q7 ダンスの授業は雰囲気が大事とのことですが。 体育の授業って、どういうイメージをもっているかわからないけど、怖い先生がピシッと列になっていて、おしゃべりもできない、しゃべっちゃダメみたいな雰囲気があるけど、表現運動に関しては、シビアな部分は取り除いて、明るい雰囲気をつくるとか、「肯定的な雰囲気」っていうんですけど、ちょっと変な動きしてもいいし、友達と笑い合ったり、おしゃべりしたり話したりしながらできる雰囲気づくりが大事かなとも思います。だから私は、音楽をよく使います。シーンとした中では動けないですよね。 それから、一人で動くということをできるだけ避けます。グループで動く、何人かで友達と一緒に動く、そういうことを手立てとしてやったほうがいいかもしれないですね。広がってから、「はい、じゃあ近くの人と二人組でやってごらん」って。もしそれを変えたければ「じゃあ今度違う人と二人組でやってごらん」というようにしてグループのメンバーは必ず変える。でないと動きの幅が広がらない。同じ人とずっと動いていると、同じ動きしか出ないので、違う人と一緒にグループになりながら、わいわいやると色々な動きができるようになります。筑波大学大学院人間総合科学研究科博士課程修了【研究分野】 健康・スポーツ科学、身体教育学【研究テーマ】 舞踊教育、芸術舞踊、体育科教育【担当科目】 体育科指導法 ダンス実習、保健体育科指導法 など20| GU'DAY Issue 07

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