群馬大学広報誌 GU’DAY(グッデイ) 2020 Winter
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 患者位置決めは照射直前の患者位置を照射位置に動かすことであり、放射線治療を安全に行うために必要な作業の一つです。重粒子線は線量集中性が良い分、より高精度に患者位置決めを行う必要があります。群馬大学重粒子線医学研究センターでは、現在診療放射線技師が手動で行っている患者位置決めを自動化・高速化するために、患者位置決め支援装置(GHMC Automatic Patient Positioning System; GAPPS)の研究開発を進めてきました。 患者位置決めを自動化するためには、1) これまで放射線技師が行ってきた精度と同程度以上の性能を有する、2) これまでの放射線技師が行う以上に高速な照合が可能、3) ミスの起こりにくい操作性の良いシステムが必要であるため、それらを備えたGAPPSの開発を行いました。 開発したGAPPSの画面キャプチャは、以下図のとおりです。GAPPSの計算精度を評価するため、頭頚部ファントムを用いた評価と重粒子線治療を受けた患者画像での評価を行いました。ファントム評価では、0.17±0.05 mmの誤差であることが明らかとなり、また、前立腺がん患者画像評価では0.32±0.21 mm、頭頚部がん患者画像評価では0.49±0.22 mmの誤差であることが明らかとなりました。計算速度はおよそ10秒であり、これらの精度は臨床で用いるのに十分であると考え、現在GAPPSの本格運用に向けた準備を進めております。 ご寄附をいただいた皆様に感謝し、今後も安全・安心に重粒子線治療を提供できるよう、努めてまいります。重粒子線治療の普及・発展に資する事業への寄附額推移年 度寄附額2016年度13,303,0002017年度9,199,0002018年度5,732,2002019年度(2020.1.15現在)6,451,100▪ 「患者位置決め支援装置の開発」をサポート重粒子線治療の普及・発展に資する事業その313,303,000円2016年度2017年度9,199,000円2018年度5,732,200円2019年度6,451,100円(2020.1.15現在)基本画面計算用マスク設定画面計算後確認用チェッカボード画面(重粒子線医学研究センター 久保田 佳樹)(単位:円)29GU'DAY Issue 07 |

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