群馬大学広報誌 GU’DAY(グッデイ) 2020 Autumn
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Q4 「血液検査学実習」の授業をしていて  楽しいときはありますか?A 実習で学生がなにかを発見する、気づきがあったときです。例えば顕微鏡で自分から何かを見つけた時だとか。あと、レポートを読むことが好きです。学生が1つのことに関していろんなことを調べて考えてくれているのが伝わってくるので、学生の努力の結晶をみているようで楽しいのです。学生が気付いてくれるのも楽しいし、それをまとめて自分の頭で考えている姿を想像することも楽しいですね。学生の成長する姿を見ることが好きです。入学当初と比較すると、学生は多くのことを考え、行うことができるようになります。学生の成長の姿を近くでみることができるところが教員のよいところかな。筒井 成長をみられるのは先生の特権ですね。齋藤 社会人になれば先輩後輩の立場から人の成長をみられると思うのですけど、教員はもっと若いときに接し、成長の姿を見ることができます。若いときは可能性があるじゃないですか。学生を見ていると、これからどういう風になるか分からないけど、きっと輝いていくのだろうなと思います。それに、のびますしね。頑張っているところを見ることができます。Q5 授業で教えるときに  気をつけていることはありますか?A 毎年ある程度同じことをしているのですが、新しいものを付け加えたいという気持ちがあります。学生から質問やコメントがあると、自分の成長や気づきにもつながるので、やはり学生の意見や質問をできるだけフィードバックした授業を行いたいと思っています。筒井 先生はいつも感想用紙などを用意してくださっていますよね。齋藤 そう。それも自分のためでもあります。講義は役に立っておもしろいほうがよいという気持ちがあるのですが、やはり自分だけで考えていると思いつかない点があります。そこでみんなの意見を取り入れて、どこがよかったかな、どこを改善しようかな、と考えています。Q6 授業を通して学生に身につけてほしいことや、それを実際に病院に就職したときに活かしてほしいことはありますか?A 「血液検査学実習」は、血液疾患を診断するための検査技術について取り扱う講義なので、血液の知識や技術を身に着けてほしいことが前提としてあります。しかし、学生に本当に身につけてほしいのは「自分で考える力」です。目の前に分からないことがあったとしても、いろんな調べ物をしたり周りの人に尋ねたりすることによって、自分で考える力を身につけてほしいと思っています。自分で考える力を身につけてもらえれば、将来臨床検査技師として働いて何か問題があったとしてもいろんなものを使って自分で調べたり、他の人に尋ねたりして、問題解決が出来ます。「血液検査学実習」では問題解決能力を身につけてほしいです。筒井 齋藤先生は実際の検査部にも行かれるのですか?齋藤 検査部に行きますよ。大学で教えている検査のやりかたとは違うところもありますからね。実際の検査は機械で自動化されていますし。それに、やはり働いている人がどのような気持ちで働いているのかについては理解していなければなりません。病院のなかでこんなに臨床検査技師は活躍できるのだ、ということを学生に伝えたいと思っています。Q7 病院での臨床検査技師のこれからの活躍として先生はなにか考えていらっしゃいますか?A 2つあります。1つは研究領域の拡大です。検査の基礎的なものを支えることができるのは臨床検査技師だけだと思っています。基礎研究の道に進む研究医が減少している現状では、基礎研究を支えることができるのは医師以外の職種になると思います。理論と実際の病気の両方を理解している数少ない職種が臨床検査技師なのです。臨床検査技師は英語でMedical Laboratory Scientist(MLS)と言います。つまり、臨床検査技師も科学者なのです。ですから臨床検査技師も科学者の立場から、もっと研究領域に携わることができると思います。14| GU'DAY Issue 08

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