Prole群馬大学大学院 保健学研究科 生体情報検査科学 教授齋藤 貴之 先生 Saitou Takayuki群馬大学医学部卒業。内科研修後、国立がんセンター研究所生物学部で研究し、DNA修復研究で医学博士取得。UCLA School of Medicine, CSMCでポスドク。群馬大学医学部附属病院 血液内科助手、腫瘍センター副センター長、群馬大学大学院保健学研究科 生体情報検査科学講座 准教授を経て、2016年より現職。【研究分野】 血液検査学、生体防御学、DNA修復、白血病や多発性骨髄腫の研究、医学部EnglishCafeやGFLなど国際交流の責任者あとは、臨床検査技師の活動領域の拡大です。臨床検査技師は病院のなかで、もっと役割がもてるはずです。現在ほとんどの臨床検査技師が検査部のなかで働いています。感染制御部などで働く臨床検査技師もいますが、それほど多くはありません。しかし最近では、検査を説明する病棟検査技師が増えてきています。医師や、場合によっては看護師が患者さんに検査結果を伝えているのが現状ですが、検査のプロフェッショナルである臨床検査技師が他職種と連携して検査の説明をすることは必要なことだと思っています。薬剤部にはドラッグインフォメーションという薬剤の問い合せを受けつけるセクションがあります。検査にも問い合わせをするところはあるのですが、小さいのですよ。本格的なところはなくて。検査部にも検査の問い合わせを受け付けるセクションを作ってみてはどうかと思います。そうすることで、検査部のなかで独自に検査技術の研究も進めることが出来るのではないかと思っています。実際にこのような取り組みを行い始めているところもあるようです。さらに、在宅医療の現場にも臨床検査技師の役割を拡大できると思います。臨床検査技師が一人で患者さんの自宅へ行き、患者さんの自宅でエコー(超音波)をとって、オンライン上で病院にいる医師に結果を送り、遠隔で診断のフィードバックを受ける、新しい臨床検査技師の勤務形態をとる臨床検査技師も最近では出始めているみたいですよ。筒井 臨床検査技師の在宅勤務は新しいですね。齋藤 これからの臨床検査技師の働き方はだいぶ変わると思うのですよ。法改正がおこるという話もあるし。あとは、AIです。人工知能を扱える臨床検査技師にならないと。家電などにAIが搭載されるようになってきていることもあり、AIは身近なものとなりつつあります。AIによって臨床検査技師の職が少なくなるという話があると思うのですが、これからの臨床検査技師は、AIを利用した検査を実施するデータサイエンティストとしての役割を果たすことが出来ると思います。実際、京都大学などでも少しずつAIを利用した検査を行っていたりするようです。臨床検査技師の検査にAIが導入されることで、さらに臨床検査技師の領域が広がっていくのではないかと思っています。私も少し勉強しているのですよ。筒井 AIが出てきたら臨床検査技師がいらなくなると思っていたのですが、逆に仕事が増えるのですね。齋藤 そうですね。私はワシントン大学に毎年行っているのですが、ワシントン大学附属病院の検査部では多くの検査技師が業務に携わっています。ルーチン化している検査はほぼ自動化されているのですが、新しい検査にはやはり多くの人が必要なのです。検査って新しいテクノロジーですし、検査がないと医療がたちゆかなくなることがあります。最近はコロナウイルス感染の拡大により「臨床検査技師が足りない。」「PCRを出来る人を増やさなければいけないけれど、そのための教育が不足している。」などと報道されていましたが、まさしくその通りだと思います。臨床検査技師がすべての領域で同じように働くというのはなくなると思います。ですが、新しい技術が必要な分野などに関しては、人が必要です。そして、そのような新しい知識や技術を扱う人がこれからの臨床検査技師だと思っています。筒井 なるほど。臨床検査技師は働き方に関しても社会とのかかわり方に関しても、これから大きく変わっていきそうですね。齋藤 血液検査を教えるだけではなく、学生に夢をもってもらうことも教員としての役目だと思っています。学生に「私は将来こういうことが出来るのだ、もっと頑張りたい。」と思えるような夢をもってもらいたいです。筒井 齋藤先生、本日はありがとうございました。[HP]http://ketsuken-gunma.kenkyuukai.jp/special/?id=1664615GU'DAY Issue 08 |
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