群馬大学 医学部 入学案内 2020
18/44

16OB・OG Messageスクリーニングの検査の中で最難関と言われる大腸がんの内視鏡診断・治療の世界的権威であり、医師が選んだスーパードクターにも名が挙がる斎藤豊先生。先生から高度な技術を学ぼうと、海外から年間100人以上の医師が訪れる。世界に誇る群大OBの斎藤先生に、群大時代の意外な思い出や、医師に必要な素養を聞いた。医学部医学科平成4年3月卒業 大学院医学研究科博士課程修了(博士)国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院 内視鏡科長、内視鏡センター長Prole斎藤 豊 先生求められる豊かな人間性。迷ったら茨の道を空手と内視鏡に共通点!? 大学時代は空手に夢中で、主将を務めた年に東日本医科学生総合体育大会で団体優勝したことは良い思い出です。内視鏡の魅力に取りつかれたのは、大学院時代に赴任した関連病院時代。学生のころは興味がわかなかったのに、不思議ですね。観るのと実際に自分の手で経験するのは全然違います。 内視鏡の魅力は、診断から治療まで関われることと、医師の技術によるところが大きいところ。代表的な内視鏡として、食道・胃・十二指腸などを検査するものと、大腸を検査するものがありますが、技術的な難易度が高い大腸内視鏡の方にチャレンジ精神がかき立てられました。大学時代に打ち込んだ空手で、どうしたら強くなるのか研究を重ねながら稽古に励んでいたのは内視鏡の鍛錬に、難しい治療に挑むときは大きな試合を前にしたときの心境に通ずるものがあります。日々成長。がん撲滅が夢 今は、国立がん研究センター中央病院で臨床にあたる傍ら、医療機器の開発に携わったり、研究をしたり。1年の3分の1は、ライブデモや技術指導や学会などで海外にいます。流派や専門が違う内視鏡医でも一流の医師の技は得るものが多いですし、後輩からも学ぶところがあります。患者さんに手技をする以上、自分や家族が「受けてみたい」と思えるところまで極めたいと思ったのが、がんセンターでのレジデントを志願したきっかけです。今でも日々成長。逆に、成長がストップするようだったら内視鏡は置いた方がよいと思っています。空港で、海外で活躍する空手部の先輩の笠間さん(四谷メディカルキューブ減量外科センター長)や同級生の笠原君(国立成育医療研究センター臓器移植センター長)といった群大の同窓生によく会います。頑張っている姿はよい刺激になります。 臨床でのやりがいは、月並みですが患者さんに喜んでいただけること。大きな腫瘍を内視鏡で切除することで、負担をかけず、QOLを大きく向上させられることができると、次のやる気につながります。 夢は、世界から進行がんをなくすこと。そのために内視鏡の啓発や学生の教育が必要です。日本は内視鏡の診断・治療技術で世界のトップレベルですが、検診の受診率が低い。近年日本人の死因として増えている大腸がんは、早期発見なら100%完治しますし、発見には内視鏡検査が最も確実ですから、もっと広めたいですね。比較的近いところにある厚生労働省との連携も強めたいと思っています。豊かな人間性を自然あふれる群大で育んで 群大生の特徴は、人柄が良いこと。実はこのことは医療現場でとても大切で、求められる資質でもあるのです。高い知識や技術はもちろん大切ですが、医療はチームで取り組むもの。仲間として働きたいのは、人柄の良い人です。人柄の良さは、チームの雰囲気も良くし、患者さんにも良い影響を与えます。 上毛三山に囲まれた自然豊かな群馬大学で大いに学んでください。そして、若い時は迷ったら茨の道を。志の高い仲間と一緒に仕事ができる日を心待ちにしています。 2019年1月から、国立がん研究センターのレジデントの後輩である浦岡俊夫先生が群馬大学の消化器肝臓内科学分野の主任教授に赴任しました。是非、母校の群馬大学とさらに連携して、世界一の内視鏡を啓発していきたいと考えています。医学部医学科 平成9年3月卒業大学院医学系研究科博士課程修了 博士(医学)群馬大学医学部附属病院 麻酔科・蘇生科 講師 緊急を要するケースが多く、場面展開も早い。素早い判断力が求められ、緊張感のある仕事ができることにやりがいを感じて、麻酔科医を志しました。今は、本学附属病院の麻酔蘇生科で、主に手術麻酔、痛みの緩和、集中治療室での全身管理などに携わっています。麻酔科は、基本的に主治医制ではなく、皆で業務を分担し、いろいろな科の医師や多職種と協力して患者さんを診ていきます。当番制で勤務体系が決まっているので、比較的予定が立てやすいですね。結婚・出産しても続けやすい環境ですから、女性も多いですよ。深刻なケースもあり、思い通りの結果が得られないときは、自分の判断は正しかったのか、自問自答することもあります。そんなとき助けられるのは、同じ思いを経験した話せる仲間の存在。それが、次のモチベーションにつながります。 勤務を続けながら、途中で大学院に進学。臨床で湧き上がった疑問を研究で明らかにする経験も積みました。今は講師として後進の育成にも努めています。群大の学生は、みんな素直で感じがいいですね。私の両親は共に医師なのですが、母が群大の学生や卒業生と触れ合ったとき同じことを言っていました。自分の学生時代を振り返ってみると、先輩も仲間も多趣味で社交性が高く、人間的にも魅力的な人が多かったように思います。人の良さは群大生の特徴かもしれません。 群馬大学医学部は、新しいことを取り入れ、日々進化しているのを感じています。海外にも目を向けていて、グローバルな交流も盛ん。豊かな学びを得るのにぴったりの大学です。女性医師も活躍。麻酔科は他科にはない魅力いっぱいProle麻生 知寿麻生知寿先生

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る