群馬大学 CAMPUS GUIDE 2020
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 医学部附属病院は、「大学病院としての使命を全うし、国民の健康と生活を守る」という理念の基に、大学病院の役割である先進的な医療の実践・開発・教育を推進し、皆さんが安全で健康な生活がおくれることを目的とします。診療については、群馬県で唯一の特定機能病院として地域医療に貢献するとともに、一般医療機関では行い難い高度医療を提供する医療機関として活動し、研究については、先進医療の開発を中心とした臨床研究を行い、教育については、医学部等の要請による臨床実習及び卒業後の初期教育を主体としています。 病院には、外来診療棟をはじめ、各種の診療棟・病棟、アメニティモール等が整備されています。このほか、院内では、患者さんのために音楽コンサートの開催や七夕飾りの展示等を随時行っています。また、本学の卒業生でもある星野富弘氏の作品を、アメニティスペース尾瀬に常設展示しており、患者さんをはじめご家族や教職員の心を和ませています。膵β細胞内のインスリン顆粒生体調節研究所とは? 大学には「知の創造」と「知の継承」という2つの大きな使命があるといわれています。「知の継承」とは教育を意味していますが、「知の創造」は研究によって新たな知識や技術を創り出すことを意味しています。この「知の創造」を専門的に追究しているのが、大学に附置されている研究所です。附置研究所は、理工学系、医学・生物学系、人文・社会学系の3つに大別されますが、どの国立大学にもあるわけではありません。たとえば医学・生物学系の附置研究所は、関東地方では、群馬大学のほかには、東京大学、東京医科歯科大学にしかありません。当研究所では、35人ほどの研究スタッフが、大学院生や博士研究員(ポスドク)など若い研究者とともに、日夜、研究を行っています。生体調節研究所では何を研究しているのか? 生体調節研究所では、臨床医学の基盤となる基礎医学や生物学の研究を行っています。私たちの体は、様々な臓器や組織から成っており、それらを構成する多種類の細胞がバラバラに働いているだけでは、個体としてうまく機能できません。各々異なる役割を持つ細胞の働きを統合的に調節する仕組みが必要です。このような仕組みの1つに、生理活性物質を細胞内部で合成し、血液中すなわち体の内部に放出する内分泌という機構があります。たとえばインスリンというホルモンは、食事で摂った栄養素が消化吸収されると、膵臓のβ細胞から分泌され、筋肉・肝臓・脂肪組織などの細胞にエネルギー源を貯えさせる作用があります。すなわち糖、脂肪酸、アミノ酸などの栄養素を血液中より取り込み、細胞内でグリコーゲン、中性脂肪、タンパク質を合成して貯蔵します。このように、生命維持活動に必要なエネルギー源や有機材料を合成するための生化学反応を代謝と言います。インスリンが十分に分泌されなかったり、その働きが悪いと、細胞内にエネルギー源が取り込まれず、血液中の糖の濃度が高まって糖尿病になるわけです。我が国では、1000万人の糖尿病患者がおり、その数は、食事や運動など生活習慣の変化によって、増加の一途をたどっています。昨今、メタボリック症候群という言葉がよく使われるように、糖尿病、肥満症、高脂血症、動脈硬化といった疾患の病態や成因は、互いに深く関連しています。また、これら内分泌・代謝機構の異常によって起こる疾患の病態が、摂食やエネルギー消費を制御する神経系や、慢性的な炎症状態に関わる免疫系の調節を受けていることもわかってきました。生体調節研究所では、ホルモンやサイトカインといった生理活性物質の分泌機構や作用機構を研究することによって、生体調節の仕組みや、その破綻によって起こる病気のメカニズムを解明しようとしています。生体調節研究所は、我が国における内分泌・代謝学の代表的研究機関として、平成22年4月、文部科学省より「内分泌・代謝学共同研究拠点」に認定されました。そしてその活動、成果が評価され、平成28年4月より、拠点として再認定されています。生体調節研究所で研究をするには 生体調節研究所は、学部の大学生が直接入学できる機関ではありません。しかし、群馬大学の生命医科学専攻(修士課程)や医科学専攻(博士課程)に参画していますので、これらの課程に入学した大学院生は、研究所で研究できます。現在、10分野で大学院生を受け入れています。外来クリスマスコンサートの様子外科手術手技講習会の様子生体調節研究所日本をリードする内分泌・代謝学研究の拠点URLhttps://www.imcr.gunma-u.ac.jp/医学部附属病院URLhttps://hospital.med.gunma-u.ac.jp/32

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