群馬大学広報誌 GU’DAY(グッデイ) 2021 Winter
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ナ禍でも活動できる」ということを証明できたと思っている。おこがましい話ではあるけど、この映画の存在を知る、ひいては観ることをきっかけに、より多くの人が活動的になってくれたらいいなと思う。福井:見てくれる方も学生が多いと思うから、学生にエネルギーを与えることが大事だよね。次に実際撮ってみてどうだったか、どういうことを考えたかについて教えてほしい。熊谷:初めて映画を撮ったんだけど、難しいね。普通に撮っても面白くないと思ったから、いろいろな角度から撮って創意工夫をしていったよ。福井さんはどうだった?福井:自分は大学卒業後の5年目をテーマとして「5年目」という作品を監督したんだけど。自分自身で会社を立ち上げて4年間やってきたけど、もっと大きなものを作りたかったなと思っている。その一方で、もし失敗したらダメージも大きかったはずだと思っている。とはいえ、熊谷が常に言っている通り、学生って、もし失敗しても、まわりが寛容にみてくれることが多いと思う。学生時代に失敗してもまた次のチャンスは巡ってくるわけで。そんな中で、大きなことを成し遂げようとしたときに壁にぶつかって失敗したら、(大学入学してから数えて)5年目にはどうなるのだろうか、ということを表現したかった。実際に撮ってみてどうだったか。短い時間だったけど、撮影を手伝ってもらった映画部のみんなとも衝突があったし、自分の創造性とまわりの意見のすり合わせが大事だと思った。勉強になった。熊谷:自分がいいと思ったものでも、他の人の目から見ると、ちょっと違うんじゃないかって思われることはあるわけで。そこを突き詰めていって、最終的に相手を納得させることができる作品が良い映画なのかもしれない。福井:ずっと作る側の立場をやってきたけど、どの媒体でも大切にしてきた点で共通しているのはコミュニケーションだから、社会情報学部での学びと通じてくると思う。熊谷:僕らの映画は、撮影するといっても、関わるのはせいぜい2〜3人だったから、より大人数の撮影で意思の一致を図ることの大変さを学んだよね。遠回しにだけど。   映画『突然失礼致します!』を企画した経緯福井:熊谷は3年次に群馬大学に編入してきて、その年に映画部を立ち上げてすぐのコロナ禍。そのような中で、この企画をするに至ったいきさつを聞きたいんだけど。熊谷:思い付きから群馬大学の映画部を立ち上げたのが、去年の10月末。はじめのうちは機材もノウハウもないので、映画鑑賞の活動をしていたわけなんだよ。たまたまある映画館に行って、群馬大学の映画部としてあいさつをしたら、代表の方と話せることになって。困っている状況を伝えたら、代表の方が「可能な範囲ではあるが機材も貸せるかもしれない。高崎映画祭の撮影現場にも足を運びなよ」と言ってくださったので、機材とノウハウが両方手に入った。その後、死にそうだと感じるくらい体調を壊したときに、いろいろな後悔が出てきたんだよ。その後悔のひとつに映画を撮らなかったことがあって。体調回復後、映画を撮ろうと決意したところでコロナ禍。どうするかってなったときに、他の大学の映画部はどうしているか気になったわけ。それでSNSを通じて、オンライン交流会を持ちかけたところ、それが全国に広がっていった。この企画の話をしたら多くの賛同が得られて、映画を撮れると確信したので、企画書作成から開始したというのが事の経緯だね。福井:気づけば制作委員会も大きくなって、全国から自分たちのような人や、映画一筋で頑張ってきたような人たちまで、それぞれに強みがある多様な人が集まったけど、縁だよね。熊谷:そうだね。運命というか、宿命というべきなのか。福井:最初に高崎のフィルムコミッションなどに接触したあと、プランもない中でとんとん拍子に話が進んで、映画自体にも後援やご協力をいただいた。この映画を広報し始めたときも真っ先に取材をして特集を組んでくださったのも群馬県内の報道機関だし、東京などの大都市ではなく群馬だからこそ、こんなに勢いをつけてできたと思うよね。熊谷:群馬から発信できたのは異常事態だと思う。ある知人から、東大や早慶がこの取り組みを始めたんだろうと思ったら、群馬大学が最初にはじめたと書いてあったのでビックリしたって言われたのね。地域に感謝したよね。県内の報道機関とのご縁をつなげてくれた福井さんにも感謝しているよ。福井:自分自身が会社をやっていく中でプレスリリースしたことや、SIJ※の活動の一環として大学のフリーペーパー編集でデザインや執筆をしたりしてきた中で、まったく畑違いで培ってきたものが生きたのも、このプロジェクトの面白いところだと思うよ。映画を作りたいっていう思いは全国の映画部と同じだったから、企画書や報道発表資料作成などの制作過程に携われたのはありがたい話だった。   クラウドファンディングの取り組みについて福井:『突然失礼致します!』の企画の一番の勝負どころは、クラウドファンディングだったよね。熊谷:そうだね。40万円相当支援金を募る予定だったのが、蓋を開けてみたらそれを遥かに超えて111万8,500円も集まったわけだけど、正直ここまでの金額は集まらないと思っていたんだよ。群馬の企業などにも多くの支援をいただいた。本当に苦境にあえいで存続の危機に陥っているのはミニシアターだから、学生に協力してくれるとは思わなかった。福井さんはどう思った?福井:最初は「とんでもないな」と思ったね。自分も目標金額を達成するのは厳しいと考えていて、必死にやったところで20万円くらいしか集まらないんじゃないかと思っていたから、目標金額の200%を越えたのは想定外だった。支援してくださった方のおかげだったよね。熊谷:目標額の40万円を超えてからは全然金額が伸びなかった。13GU'DAY Issue 09 |

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