群馬大学広報誌 GU’DAY(グッデイ) 2021 Winter
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0304Micro Electro Mechanical Systems (MEMS、メムス)とは、日本語では「微小電気機械システム」と表されます。言い換えると、マイクロマシンのことです。MEMSはCPUなどの超精密な半導体集積回路を作製していた従来の技術を利用して、電子回路だけでなく小さな機械の部品も同時に作製します。このことにより、今までに無い高付加価値の製品を製作します。使用する製造技術の視点から見ると、MEMSは『動く半導体』と言い換えることができます。MEMSのメリットは、超小型・高機能・低コストの3つに集約されます。半導体製造技術は非常に高精細な加工を行うため、非常に高価な装置を使用します。しかし、小さな機械を同時に大量に作製できるため、一つ一つのMEMSは非常に低コストになります。機械と電気の両方の機能を集積化することにより、従来にない高機能な製品を生み出します。MEMSとは?研究紹介MEMSはスマートフォンや自動車など、身の回りの様々なところにたくさん使われています。現在さらなる活躍の場所として活用されはじめているのがIoT(アイ・オー・ティ)、Internet of Things、モノのインターネットです。IoTは、街、工場、生活、いろいろな場所にあるいろいろなモノにセンサを取り付けて、取得したデータを無線でインターネットに送ります。様々なデータがあつまったところで、人工知能・AIなどの技術を使ってデータを解析し、その結果をモノに返して、次の行動を促します。データを受け取るだけではなく、集めたデータを解析してフィードバックすることにより、データを集めた環境をより効率的・安全・安心に動かそうとしているのです。IoTのなかで重要な要素がセンサや電源です。世の中にあるたくさんのものによりたくさんのセンサを載せることにより、社会がより効率化されていきます。そのためには安価・高機能・小型のセンサは必須です。これをMEMS・マイクロマシンで解決しようとしています。 この漫画は研究室の学生が描いてくれたものです。漫画のなかではIoTによる高齢者・子供・ペットなどの見守りを想定していますが、システムの電池交換はとても大変です。私の研究室では体が動いたときのちょっとした振動を電気に変える超小型発電機の研究などを進めており、メンテナンスフリーで安心・安全な社会の構築に資することを目指しています。IoT社会とMEMS 29GU'DAY Issue 09 |

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