群馬大学広報誌 GU’DAY(グッデイ) 2021 Autumn
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 最初に興味を持ったのは教育社会学ではなくて社会学でした。私が大学に入学する前の年は色々な事件が起こり、社会的に落ち着かない状況だったので、社会問題などを学問の対象として捉える社会学という学問に関心を持ちました。 私が高校生の頃に流行した「女子高生ブーム」の中に、援助交際というものがありました。お金に困っているから援助交際をするのではなく、どちらかというと裕福な家庭の子たちが援助交際をする現象が注目されていました。若者の行為や文化を社会情勢と結び付けて議論することを社会学者はよくやっていたんです。色々な社会現象や社会の要素を組み合わせて分析する社会学の面白さを感じました。 私自身は、教員養成を目的としない教育学部で学んでいました。2年生の後期から研究室を選ぶんですが、その時に「社会学って面白かったな」と思い、教育学部の中で社会学を勉強できる教育社会学を選んだんです。QQ新藤先生が教育社会学に興味を持ったきっかけは何ですか? 学生の皆さん頑張って卒論をまとめられているんですが、特にレベルが高い研究が印象深かったです。 例えば、私が群大に着任して初めて受け持った学生の卒論のテーマに、「子どもの仲間集団の時代の変遷」がありました。よく「今の子は外で遊ばなくなった」や「ガキ大将がいなくなった」と言われたりしますよね。いつ頃どういった感じで変わってきたのかを探る研究です。子どもたちの作文を集めた雑誌の中から優秀作品が載る号を10年おきに調べて、どこの地域の子どもたちがどのような友達関係に基づいて書いているのかについて分析していました。その結果、異年齢集団で遊ぶことは、1960年の時点で都市部でほとんど見られなくなっており、同じ学年の子どもとしか遊んでいないことが分かりました。その上、外遊びをしないことについても、都市部においては比較的早く言われていたことも分かりました。よく勉強している学生でしたね。印象深かったです。これまで研究室で印象深かった出来事はありますか?“IMADOKI” TEACHING高校生高校生向け北欧サーミの復権と現状現代アイヌの生活と地域住民〈 2018年 〉〈 2018年 〉教える・学ぶ 教育に何ができるか〈 2019年 〉〈つながり〉の戦後史〈 2020年 〉世界的にも権利保障が進んでいるといわれる北欧の先住民族サーミを対象に、政策や生活の実態を調査した本です。このなかで私は、サーミの人々の生活実態や意識についてまとめています。北海道に生活拠点があった日本の先住民族アイヌを対象に、政策や生活の実態を調査した本です。このなかで私は、国・北海道・市町村のサーミ政策の展開についてまとめました。子どもの貧困の問題を、教育の分野から考えようという本です。このなかで私は、「外国につながる子どもの貧困と教育」について書いています。1970年に閉山した尺別炭鉱(北海道釧路市)を対象に、炭鉱閉山が炭鉱労働者やその家族にどのような影響を与えたかを明らかにした本です。炭鉱のつながりが同郷団体として存続する様子を分析しました。新藤先生が執筆した著書04 GU'DAY

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