群馬大学 CAMPUS GUIDE 2022
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小島:石崎先生はどのような大学生でしたか。石崎:自分で言うのも恥ずかしいですが、結構真面目な学生だったんです。講義は病気以外で休むということはありませんでしたし、それなりの成績も収めていたと思います。でも、一方で映画を見たり、落語が好きだったので寄席に行ったりもしました。本も多方面にわたるものを読みました。大学時代にいろいろなことを楽しんだのが今の生きる糧になっていると感じていますので、大学生のみなさんには、比較的時間に余裕がある時にいろいろなことを楽しんでもらいたいと思います。小島:医学の道に進まれたのはどのような理由があったのでしょうか。石崎:小学校低学年の時には、落語家になりたいと思っていました。親戚の家に行っては落語を一席、と披露していたんです。ちなみに私の十八番は「時そば」ですね。もう少し成長すると、私は父が内科医なので、自然と医学の道を志すようになりました。小学生の頃に父から教えてもらった「微生物の狩人」というコッホやパスツールなどの細菌学者の評伝をまとめた子ども向けの本を読んで彼らが私のヒーローになりました。このことが研究の道に進む原動力になったのだと思います。小島:学生時代にはキャリアに悩んだりはしなかったですか?石崎:そうですね、臨床の道に進むか、研究を続けるかは悩みましたが、やはり小学生の頃にコッホやパスツールに憧れたというのが原点にありますし、もう一つ医学科の学生の時に薬理学を教わった江橋節郎先生が非常に立派な方で、あんな先生になりたいな、と思ったのも理由です。小島:どんな先生だったんでしょうか?石崎:その先生は非常に大きな仕事をされて、業績をたくさん残されているので学生にとってはスターでしたね。とても偉大な先生で、どんなに忙しくてもお正月の三が日を除いて毎日必ず実験をする、というすごい方でした。そんな先生が私たち学生に話してくれて印象に残っているのは「最近の若者は成果だけを気にしすぎる。我々の世代は実験すること自体が楽しかった」ということでしょうか。小島:僕自身も研究をしていますが、やはり結果が欲しくなってしまいますね。先生も成果を気にされていましたか。石崎:そうですね、でも実験をしている最中は楽しくて没頭していましたよ。小島:大学時代の友人関係やサークルなどはどんな思い出がありますか。石崎:大学時代にできた友人は今でも悩みごとがあると相談し合ったりしています。卒業後、失恋した時に慰めてもらったり。(笑) 彼の悩みの相談に乗ったりもしています。小島:大学はさまざまな人との出会いの場だと思います。人生の岐路となったような出会いはありましたか。石崎:やはり江橋先生に憧れて基礎研究の道に進んだという所がありますので、人生の岐路となった出会いと言えばそれが大きなものでしょうか。小島:進んでみて「思ったのとは違うな」と思ったことなどはありましたか。理想との乖離で悩んだり。石崎:研究の道を選んで失敗したな、とは思いませんでしたね。臨床の道に進んでいたら、例えば収入の面などではその方が良かったのかもしれません。貧乏暮らしでしたが後悔はしませんでした。小島:進路に悩んだらこうする、というようなことはありますか。考え方や基準などですが。石崎:私はその時自分が一番何をしたいかで決めてきましたね。小島:やはり自分がどう思うか、ということが重要なんですね。落語家志望から医学の道へ石崎 泰樹 医学博士 宮城県仙台市出身。小学生の頃は落語家を目指したが、内科医だった父親の影響を受けて医学の道に進む。 東京大学医学部医学科卒業。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。 ユニヴァシティカレッジロンドン生物学部客員研究員を務めた後、東京医科歯科大学研究科助手、神戸大学助教授などを経て2001年に群馬大学医学部助教授に着任。2004年に教授に昇任、2017年群馬大学医学部長に就任。 2021年4月から群馬大学 学長に就任。小島 優樹 桐生市出身。共愛学園高等学校卒業。 光化学を利用した光結晶化と光がん治療の研究を行う光物理化学研究室(奥津研究室)に所属。 GFLの「2019年度研究テーマプロポーザル講座発表会」で優秀発表賞受賞。 趣味は10㎞程度のランニング。 早期卒業により2021年4月から群馬大学理工学府に進学。Profile江橋節郎先生ご夫妻と3群馬大学GUNMA UNIVERSITY CAMPUS GUIDE 2022

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