群馬大学 CAMPUS GUIDE 2022
6/52

小島:自分は将来グローバルな仕事をしたいと考えています。石崎先生は英国で客員研究員をされていたご経歴がありますが、その時の経験をお聞かせいただけますか。石崎:私が留学したのはユニヴァシティカレッジロンドンという所なのですが、そこのラボの教授はカナダ人でほとんどが米国からのポスドクで、英国人は技術補佐員1人だけでした。その時に感じたのは米国人と英国人は随分違うなということでした。文化の違いも感じましたし、とにかく、日本や日本の文化について尋ねられるんです。あらためて日本について考えさせられる機会が多くありました。それから、私はミステリー小説も好きなのですが、ロンドンに住んでみてシャーロック・ホームズやアガサ・クリスティのミステリーに出てくる地名が身近に感じられたのも嬉しかったですね。小島:先生はご自身で手紙を書かれて留学された、と伺いました。その行動力はすごいと思うのですが。石崎:やはり論文を読んで「この先生と一緒に実験してみたい」と強烈に思ったんです。いろいろな論文は読みましたがやはり一緒に仕事がしたいと思ったのはその先生だけでした。それで手紙を書いたんです。小島:ずっと英国に残りたい、という想いはなかったですか。石崎:実はその時は日本の大学の仕事を休職して留学していたんです。残らないかと誘われ、研究の環境も当時は英国の方が良かったので続けたいという想いもありましたがやはり日本で仕事を続けたいとも考えました。小島:英国は食べ物があまり美味しくないとよく聞きますが、それは困らなかったですか。(笑)石崎:サンドイッチなどのピクニックに持って行くような食事はとても美味しかったですよ。小島:海外で働くのには英語力が重要になると思うのですが、石崎先生はどのように英語を身に付けられたのでしょう。石崎:そうですね、ポイントになることは聞き取るヒアリングだと思いました。話すことは片言でも何とかなりますが、まずは相手が何を言っているのか分からなければ会話が始まらない。ヒアリングは映画を見るときに英語の字幕などで勉強しましたね。子どもが小さかったので留学時代にサウンドオブミュージックやディズニーのアニメの英語版ビデオをよく見ました。小島:影響を受けた本や映画、座右の銘などを教えていただけますか。石崎:座右の銘としてまずあげるとすれば大学1年生で読んだ英語の本にルイ・パスツールの言葉としてあった“Chance favors the prepared mind.” 「チャンスは準備された心のみに訪れる」というものですね。これはその後ずっと大事にしている言葉です。やはりきちんと準備していないと幸運は訪れないんですね。それともう一つ、これも大学1年生の時にドイツ語の教科書で覚えた言葉ですが、ゲーテ 「ファウスト」の一節で“Es irrt der Mensch, so lang' er strebt.”、英語では“Man errs as long as he strives.”「人は努力する限り迷うものである」、これもなかなか味のある言葉ですよね。そして論語の一節などもいいですよ。例えば「巧言令色鮮なし仁(こうげんれいしょくすくなしじん)」つまり、愛想のいい人はあまり信用してはいけない、ということですね。小島:なるほど。映画などはいかがですか。石崎:ロンドン留学時代にテレビで放映された小津安二郎の「東京物語」や「秋日和」を見て感銘を受けましたね。今思うと「秋日和」の舞台の一部は榛名と伊香保だったんです。後に群馬に来て榛名富士を見て感激しました。小島:意外な群馬との繋がりですね。石崎:たまたまですけれど、それだけ群馬が良い所ということじゃないですか。(笑)英国留学で「日本」を考える機会が増えましたユニヴァシティカレッジロンドンのマーチン・ラフ研の仲間と(後列左端が石崎でその隣がラフ教授)4群馬大学GUNMA UNIVERSITY CAMPUS GUIDE 2022

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る