浜松医科大学 NEWSLETTER 2023.3(Vol.49 No.2)
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5NEWSLETTER退職によせて― Messages from Outgoing Staff ― 平成10(1998)年赴任ですので、まる25年になります。当初はまさかこんなに長くいるとは思っていませんでしたが、あまりに居心地がよかったものですから、ついつい長居をして大学にはご迷惑をかけてしまいました。研究ではCl-ホメオスタシスの動的変化による、抑制性神経伝達物質GABA作用の抑制と興奮のスイッチング(Cl-ホメオダイナミクス)、その結果起る多様なGABA作用(マルチモーダルGABA)が脳の発生や発達に果たす役割と、てんかんや発達障害などの病因・病態に繋がるメカニズムを研究してきました。平成27(2015)年からの5年間は、文部科学省の新学術領域研究「非線形発振現象を基盤としたヒューマンネイチャーの理解」の計画班として、Cl-ホメオダイナミクスとマルチモーダルGABAによる「細胞発振現象と集団発振のモーダルシフト」について研究しました。そのほか、第11回脳科学・心筋・平滑筋に関する日韓シンポジウム(2013年)、第94回日本生理学会大会(2017年)、第48回日本脳科学会(2021年)を浜松で開催しました。楽しい思い出ばかりですが、最後の3年はコロナ禍で行事や打上げもできず、赴任以来続けてきた学生との朝野球もできず、教員・院生・学生で結成したバンドの医大祭デビューもできずにいましたが、最後の年にステージに立てて良かったです。幸い特命研究教授としてもう少しだけお世話になりますので、どうぞ宜しくお願い致します。 平成3(1991)年3月1日に当時の病理学第一講座喜納勇教授の元に赴任しました。分子病理学の立ち上げが任務でしたが、教室に余力ができたのか、この間に国内外の留学をした方もいて、そのカバーで地域の診断に駆けずりまわることの方が多かったかもしれません。4年後に喜納教授が急逝し、途方に暮れているところを、筒井、藤田名誉教授などが、引き続き研究する機会を与えてくれ、今日に至っております。今やよく言われるようになった、谷あり谷あり(大きな谷と小さな谷)といったフレーズがピッタリの研究生活でしたが、遠山プランと言われた21世紀COE(2003年)に参画して、寺川名誉教授の途方もないご苦労を目の当たりにしました。とにかく国際シンポをやらないと評価の対象にならないから、などと急にブラジルから人を招聘したり・・・。優秀な大学院生と論文を作ったり、彼らの留学先のボスと海外の学会で会ったりといった楽しいこともありました。今年から、同じような作業ですが、お茶の水の佐々木研究所で数人の研究者のパフォーマンスを最大限にする努力をしております。大学の一番近くに住む教員と思っていましたが、最後のなつみかんの収穫を待つばかりです。 わが庵は三輪の山もと恋しくはとぶらひ来ませ杉立てる門  詠み人しらず 昭和57(1982)年に浜松医科大学を3期生として卒業し、臨床検査という領域で過ごして早40年が経過しました。途中、米国、国立がんセンター中央病院で過ごし、平成12(2000)年に大学に戻りました。のんきな私がこれまで業務を全うできましたのは、皆様からのご支援とご鞭撻のおかげです。長きにわたりご指導ありがとうございました。 臨床検査医学講座教授(検査部部長)職を拝命してから、大学の法人化、遺伝子診療部の立ち上げ、臨床検査の国際規格 ISO 15189の取得など、臨床検査と関係の深いこともたくさんありました。臨床検査は医療における客観的データの最たるものであり、検査のプロセスを確実に行うことによって良質の検査結果が得られますが、昨今の日本の臨床検査は海外への外部委託が増えて後進国になっています。私ども臨床検査に関わる者の力不足だけでなく種々の外圧も多分に影響しています。エネルギー・食料・技術・教育は内製化すべきという意見がありますが、臨床検査も技術開発や質保証を自前で行う必要性を強く感じるこの頃です。引き続き、臨床検査と向き合っていきたいと思いますので、宜しくお願いします。神経生理学講座 教授福田 敦夫腫瘍病理学講座 教授椙村 春彦臨床検査医学講座 教授前川 真人25年間お世話になりました谷に活路を臨床検査とともに歩んだ40年に感謝

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