浜松医科大学 NEWSLETTER 2023.3(Vol.49 No.2)
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NEWSLETTER筆者は左 健康マニア以外の大多数の国民にとっては、医療以外に大事なものがあります。だから無駄な手間は取らせたくないのです。つまり紹介の度に、また一から採血、一からCTなどないように。このためにはデータが標準化されてなければなりません。故に標準化に半生をかけました。 とにかく患者のデータは捨てたくありません。また常に提供できなければなりません。病院情報システムや画像システムのベンダーが替わったので昔のデータはないなど理由になりません。もちろんシステムがダウンしたとかネットにウイルスが広がったとかも理由になりません、なのでSS-MIXストレージやそれを使ったPCバックアップを作ってそういった時でも診療ができるようにしています。一方もし患者がデータ二次利用を望むなら、医者の二度手間にならぬようそっくりお渡しできるようにしてあります。 30年前、私が過去にいた大学ではCTのデータの磁気テープは捨てていました。浜松医大では、どうせ処分するならということで、研究用として必要とする講座には古いカルテを持って行ってもらうように呼び掛けていました。浜松医大には放射線画像はDICOM規格で30年分あります。検体検査結果はHL7規格で25年分あります。 マニア以外の大多数の医者にとって、同じ事を2度書くのはまっぴらごめんでしょう、故に電子カルテ上の記載でケースカードができるスタンプシステムを作りました。 なにより、どの医師、看護師にとっても、レスポンスが早いことが一番でしょう。医師、看護師を一日10分待たせれば、時給で計算すると年間数億円の無駄になります。故にハードには予算をかけました。この規模の病院で浜松医大より早いところはなかなかないと思います。 令和5(2023)年3月に定年退職を迎えます。昭和51(1976)年4月に3期生として入学以来、学生6年、職員41年と47年の長きにわたり浜松医科大学に在籍しました。在外研究員として英国スコットランドのグラスゴー大学に滞在した1年間を除いて、46年間半田山の地に通い続け、本学の歩みをつぶさに見つめて参りました。診療では医学部附属病院集中治療部を拠点に急性期医療・周術期医療の進歩を体感し、その一翼を担えたことを誇りに思います。 在任中に数多くの薬剤や医療機器の臨床試験に携わることができました。中でも吸入麻酔薬セボフルランと催眠鎮静薬レミマゾラムの2剤は、本学が主体となって臨床第一相試験から実施し、世界に先駆けてわが国で臨床使用が承認されたので心に残ります。それぞれの領域の国際的標準薬として久しく愛用されることを願っています。 退職後も地域の急性期医療の充実に力を尽くしながら、レミマゾラムの集中治療領域への適応拡大を目指す所存です。今後も浜松医科大学の皆様にはお力添えをお願いすることとなります。どうぞよろしくお願いいたします。 昭和60(1985)年6月16日に本学医学部附属病院医事課給食係に入職してから38年が経過しようとしています。銀杏、タラの芽、栃の実、自然薯など半田山の自然の恵みに思いを馳せながら、いよいよ定年なんだと考えたとき、時代の流れをしみじみと感じました。 入職以来、所属部署こそ変わりませんでしたが、その名称は医事課給食係、医事課栄養係、医事課栄養管理室、医療サービス課栄養管理室、そして栄養部へと変更されてきました。当初5名しかいなかった管理栄養士は現在、非常勤職員を含め14名までに増員され、入院患者の給食提供が中心の業務から、栄養管理、栄養食事指導、そしてNSTをはじめとする各種医療チームへの参画など業務の幅を拡げてきました。 このような時代の流れに取り残されないように、多くの人たちに支えられつつ、栄養部の変遷とともに、必死にもがいて今日まで歩んで来ることが出来ました。長い間本当にありがとうございました。 お世話になった皆様に感謝申し上げますとともに、浜松医科大学の益々の発展を祈念いたします。医療情報部 教授・部長木村 通男集中治療部 特任准教授・部長土井 松幸栄養部 管理栄養士・副部長渡邉 潤6こんなことを考えてやってきました半田山にて46年栄養部の変遷とともに

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