浜松医科大学 NEWSLETTER 2023.10(Vol.50 No.1)
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peN6海むこうal【始めに】【医療キャンプについて】 山村僻地での医療キャンプに参加させていただきました。体験したことのないほどのNEWSLETTER▲ 医療キャンプにて子供達と記念撮影(Gaurishankar Secondary Schoolにて)▲ 検診活動中の一枚(Bhagawati Basic Schoolにて)▲ 悪路を片道約3時間かけて移動▲ ネパール人医師とのエコー交流会後(筆者:右から2番目)▲ カレーの種類が豊富で、  ご飯はおかわり自由令和5(2023)年4月8日から約2週間、5年次臨床実習期間中にネパールでの医療キャンプに参加してきました。 私は本学入学以前に世界20ヵ国以上を旅し、外国人の温かさ、家族の絆の強さを感じ、海外が好きになりました。大学在学2年次に、浜松で在日外国人診療をしている山口貴司先生に出会いました。毎週末の診療見学を通して、多くのことを学ばせていただきました。その中で、言語や文化の違いにより、病院の受診が困難である光景を目の当たりにしました。このような経験から、将来は在日外国人医療をリードしていく医師になることを目標としており、彼らと同じ目線で会話ができることが大切だと考え、海外での医療キャンプに参加してきました。またネパールでは、病院見学などを通して、人々の生活を垣間見ることもできました。【病院見学について】 大学病院(Manipal College of Medical Sciences)とクリニックの見学をさせていただきました。大学病院は、多くの診療科を有しており、高度医療を提供するためのCT設備やカテーテル設備などもありました。しかし、救急部にある除細動器が壊れていたこともあり、都市部の病院ですら医療資源が不十分であるネパールの現状を知りました。 また、ネパールのクリニックでは、1つの建物で何人もの医師が部屋ごとで開業されているケースが多いことに驚きました。悪路を約3時間かけてたどり着いた小学校では、小児、およびその地域に住む家族の検診活動に参加させていただきました。空き教室でシーツを掛けた机をベッドにし、聴診器やペンライトといった最低限の診察器具を用いて診察を行いました。僻地の患者さんは、医療機関の継続受診が困難で、自身でカルテの情報を持ち運んでいます。そのため、通訳さんを介した丁寧なコミュニケーションが非常に大切でした。また地理的、金銭的な理由から治療を受けることのできない子供達もいました。医療キャンプが始まると、彼らの母親が熱心に診察に同行していたのも非常に印象的でした。この活動を通して、医療キャンプ団の果たす役割の大きさ、継続した医療の難しさを感じるとともに、社会的背景まで考慮し、最適な医療を提供することの大切さを学びました。【ネパールの文化について】 手でカレーを食べることにも挑戦しました。カレーは安価なだけでなく、ご飯のおかわりが自由なため、ネパールでは米食が多くなるそうです。糖尿病などの生活習慣病患者が多くなることも報告されており、食文化と病気の関係について実感することもできました。【最後に】 日本は人手不足の問題もあり、今後ますます外国人が増加していく事が予想されます。医師が文化を理解して、共感することができれば、日本に住む外国人も安心して医療を受けることができると思います。今回のネパール訪問を通して、少しでも彼らに寄り添う事のできる医療人になれたと確信しております。【謝辞】彼らとエコーを用いた交流会をする機会もあり、ネパールの医療の現状について、現地で長年医療をされている医師から話を聞くこともできました。臨床実習中にも関わらず快く海外医療研修に送り出してくださった大学関係者の皆様、活動をサポートしてくださった山口貴司先生および認定NPO法人ブッダ基金の関係者の皆様に、この場をお借りして感謝申し上げます。医学部医学科5年 阿慶田 眞之輔ネパール医療キャンプへの参加〜在日外国人医療をリードしていく医師になるために〜

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