44 毎年、事業活動における環境負荷及び環境配慮等の取組状況に関する説明責任を果たされていることに、敬意を表します。貴学でも持続可能な開発目標(SDGs)に沿った取り組みを推進されていることが読み取れました。特に、様々な形で、次世代の人材を育成するための環境関連活動がなされていることが判り、毎年の楽しみとなっています。 本報告書の第1章では環境配慮の方針・環境報告の基本事項、第2章では貴学の事業活動に係る環境配慮計画、第3章では環境マネジメント、すなわち環境管理組織やPDCAサイクルによる改善について示し、第4章では各取り組みについてデータを開示し、第5章で環境配慮の情報について、第6章で職場の社会貢献活動について述べており、これらは昨年度の環境報告書から受け継がれていて、全体として環境報告書ガイドライン記載項目を網羅するようになっています。 事業活動に関わる環境配慮計画(14頁)では、全13項目のうち、A判定(貴学の評価点が満点)が4項目、B判定(貴学の評価点が、満点に対し80%以上100%未満)が7項目となっており、この評価は昨年と変わらないものの、詳細(環境への取り組みの自己チェック)を見ると、「使用していない部屋の空調を停止している」、「空調を必要な区域や時間に限定して使用している」、「空調機のフィルターの定期的な清掃・交換など、適正に管理している」の3項目で評価が上がっており、着実に取り組みを浸透させていることが伺えます。C判定となった省資源、環境コミュニケーション及び社会貢献の項目では、前者ではペーパーレス化・印刷物を用意する場合も残部が出ないように配慮、後者では環境経営レポートの配布や外部への窓口の点で点数が低くなっていますが、ペーパーレス化など一気に進まない部分もありますので、少しずつ進められることを期待します。 温室効果ガス排出量のうち、二酸化炭素排出量は昨年度に比べて2.1%減と、昨年度の増加分をほぼキャンセルした値となっています。事業の規模が毎年変わるとそれに伴って二酸化炭素排出量は変化しますので、単純比較はできませんが、附属病院の入院患者数、外来患者数とも昨年度より増えていることを考えると、削減努力が実を結びつつあるように見受けられます。2027年度に2013年度比14%減の目標も達成できそうな勢いです。また、夏の気温が高かったにもかかわらず、エネルギーの使用量も2022年度比2.4%減と大幅減を達成しており、加えて、紙の使用量も全体として削減した点は、評価できる点です。日本全体では、2030年までに2013年比46%削減を打ち出しており、これに対してどのように寄与してゆくかは、議論があるかもしれません。 水の使用量、総排水量などは増加しておりますが、必要な部分はご使用いただきながら、節水できるところは節水していくことが重要かと思います。また、化学物質の取扱量として、ホルムアルデヒドやキシレンの量が増加しています。ホルムアルデヒドは経気道曝露による発がん性が報告されている物質ですので、取り扱いには十分注意いただきたく存じます。 廃棄物量の減少、有害物質の管理については、十分な取り組みがなされていると感じました。今後もこのように環境配慮を継続し、それをご報告いただけると幸いです。よろしくお願い致します。静岡県立大学 食品栄養科学部教授 雨谷 敬史評価・検証・データ7-1 環境報告書2024の外部評価07
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